経済・社会

2025.03.28 20:00

第12代NATO事務総長が語る「レッドライン」と「リーダーシップ」

━━NATOと日本とで協調すべきという話もあったかと。

ラスムセン: ええ、そうです。2013年に、私はNATOの代表として来日し、故・安倍晋三元首相と私とでパートナーシップ協定に署名しました(編集部註:「日本・北大西洋条約機構(NATO)共同政治宣言」)。これは、日本・NATO間の協力関係における画期的な合意文書です。そして翌2014年、安倍首相はブリュッセルのNATO本部を訪問し、北大西洋理事会で演説しました。私たちは重要なステップを踏み出し、今日、日本とNATOの協力は強化されています。

━━「レッドライン」は極めて重要な論点に思えます。例えば中国が台湾に対してどこまで踏み込むことができるか、そこにも一線があるかと。この問題は、日本にとって今後数年間で非常に重要なテーマになりそうです。現状、私たちは台湾との関係を深めようとしながらも、中国が超大国化していく中で、距離感を測り、隣国としてどう付き合っていくべきか模索しています。日本がより真剣に関与しなければならなくなった時、レッドラインにはどういったものが想定されるのでしょうか。

ラスムセン: まずは、ウクライナの話から始めましょう。国際社会は、日本が非常に高いレベルでウクライナに経済支援を行っているのを見てきました。そして、私は日本が引き続きウクライナへの支援を維持することを心から願っています。ウクライナはそのお金が必要ですし、プーチン大統領やトランプ大統領、そして他の人々に対して、ウクライナは孤立していないという明確な政治的シグナルになるからです。

日本のウクライナへの継続的な支援は、和平プロセスにおいて重要な役割を果たすと思います。さて、台湾についてですが、それは明らかに日本にとってバランスの問題です。私は近い将来、中国が台湾を直接侵攻するとは予想していません。現時点で中国にそれを実行する力がないからです。それに、中国は現在、国内問題にも忙殺されています。それでも時々、台湾近海での軍事演習、領空侵犯、封鎖、または封鎖の試みなどが見られます。

日本が台湾周辺での軍事演習や封鎖を阻止するうえで、積極的な役割を果たせるとは思いません。しかし、もし中国が台湾に対して直接攻撃を仕掛けた場合、私は米国と、そのアジアのパートナーの連合が直ちに反応することを期待しています。日本、オーストラリア、ニュージーランドといった国々ですね。

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文 = 井関庸介 写真 = 能仁広之

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