ウクライナの新たな攻撃ドローン(無人機)「FP-1」は、最大120kgの弾頭を搭載でき、航続距離は最大1600kmに達する。プロペラ推進のFP-1はウクルスペックシステムズ社の旧型「PD-1」と大まかには似ているが、おそらくはるかに強力だろう。もともとは偵察や監視用だったPD-1の航続距離は1000km程度とみられ、攻撃に転用した場合の弾頭重量もより軽量だったと推測される。
FP-1は従来のドローンよりもペイロードを増やし、航続距離を伸ばすために、いろいろと細かな改良が施されている。最も大きな改良点はひと目でわかる。FP-1には脚(ランディングギア)がないのだ。FP-1はPD-1のように車輪で自走して離陸するのではなく、角度をつけた発射台から、胴体に取り付けられたロケットの推進力で飛び立つ。
この新型ドローンは、キーウでこのほど開催された展示会で初めて公開された。もっとも生産はすでに昨年始まっていて、すでに実戦にも投入されている。
The Ukrainian "FP-1" long-range one-way attack drone. Claimed max payload capacity of 120 kg and max range of 1,600 km.https://t.co/HaIN2c0qQMhttps://t.co/gbU7c1rQ5d pic.twitter.com/gze5K5WU7b
— John Hardie (@JohnH105) May 7, 2025
ウクライナは多種多様な国産ドローンを擁しており、それを用いてロシア国内の航空基地や製油所などの目標を繰り返し攻撃している。最も遠距離への攻撃が当然のことながら最も難易度が高く、たいていは、あまり数が多くないとみられるアエロプラクト製A-22軽量スポーツ機改造型が担う(編集注:ほかに「リューティー(獰猛)」や「ボベル(ビーバー)」もかなり遠距離への攻撃での使用が報告されている)。
ただ、無人操縦装置や弾頭を追加する前のベースの製品で8万ドル(約1170万円)かそこらのA-22は、ウクライナの長距離攻撃をめぐる問題の解決策としてスマートなものとは言いがたい。A-22は有人機として設計されており、大きなコックピットを備える。つまり、ドローンとしては過剰なつくりになっている。A-22改造型や似たようなタイプのドローンが100kgくらいの弾頭を積んで飛べる距離は1300kmくらいにとどまるらしいのも、そのせいかもしれない。
FP-1は10万ドル(約1450万円)以上するかもしれないが、同程度の弾頭重量でもっと遠くまで飛べるだろう。FP-1では、大方の有人機で機体重量の最大5%を占めるランディングギアが最初からない。空力効率を最大限に高めるために脚が胴体内に畳み込まれる場合、内部の容積をかなり食うことにもなる。
米クレイトス社が、通常型は斜台から発射される攻撃ドローン「バルキリー」の脚付き型を開発したとき、弾頭を爆弾4個(計約450kg)から2個(同225kg)に減らしたのも理由のないことではない。
ドローンの発進にはさらに優れた方法がある。ドローンをトロリー(台車)に載せて走らせ、離陸時にそれを切り離すというものだ。これなら、重いランディングギアを装備しなくても滑走路で十分な離陸速度を出せ、後部のロケットも不要になる。
5. Here is a video showing the drone taking off using a dolly. Unusual is that this drone has flaps. pic.twitter.com/zzG9E5NDbO
— DanielR (@DanielR33187703) April 12, 2024
ただし、この発進方法を採用する場合、ドローンを再利用するには着陸時用にパラシュートを内蔵する必要がある。FP-1は目標に突っ込んで爆発する使い捨て型であり、帰還は想定されていない。