━━オバマ大統領がシリアへの攻撃を躊躇した時が、歴史における決定的な転換点の一つかもしれないと述べていますね。
ラスムセン:バッシャール・アル=アサド政権は保持していた化学兵器を使用しました。それまで米国政府は、「Red Line(レッドライン)」を超えた場合はシリアを攻撃すると明言していましたが、法廷にもち込むことに方針転換しています。
━━ご著書の中で、これを「致命的なためらい」と表現し、ロシアや中国をはじめとした国々に対して誤ったシグナルを送ってしまったと述べています。転換点がこの時点にあったとすれば、メディアはトランプ政権の外交政策に焦点を当てすぎているのでしょうか。なぜなら、ご指摘のように、オバマ大統領の時代にすでに米国の及び腰の外交姿勢が始まっていた可能性があるからです。この点についてはどうお考えになりますか?
ラスムセン: それはとても重要な点です。仮に敵がレッドラインを超えたときに然るべき対応を取らなければ、間違ったシグナルを送ることになるからです。その敵は、それを付け込める弱みという誤った見立てをするかもしれません。まさにロシアやシリア、そしてすべての独裁者たちがしたことです。彼らは、米国側からのいかなる反応もなしにレッドラインを超えても大丈夫だと判断しました。新しい例として、米国によるアフガニスタンからの壊滅的な撤退を挙げることができます。
これは、独裁者たち、とりわけプーチン大統領が読み違え、「よし、バイデンは弱い。アフガニスタンから軍を撤退させれば、その状況を利用してウクライナを攻撃できるはずだ。反撃はないだろうから」と考えるに至った別の例でした。我々が歴史から学んだ教訓とは、米国が撤退すれば悪者が埋める空白が残るということです。そして差し出がましいようですが、抑止力を強化するため、日本が国際的な協調枠組みに関われるよう憲法を改正することは日本にとって有益だと思います。
