AI

2024.08.08 15:45

AIで好奇心を刺激し、「検索」を進化させるパープレキシティ

話題のAI搭載型検索エンジン開発企業「パープレキシティAI」を率いるアラビンド・スリニバスCEO Courtesy of SoftBank

──コア製品の「回答エンジン」に注力しながら、他の可能性も追求していくということですね。
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スリニバス:もちろん、核となる回答エンジンは引き続き取り組むべき重要なものです。グーグルだって他にもいろいろな事業を手がけながら、コア事業の検索エンジンを改良し続けています。私たちも、同じように続ける必要があります。回答の質、速度、正確性、可読性、異なるクエリのカテゴリーに特化した回答をどう表示するか。ショッピングや旅行、ファクトチェック(事実確認)、コーディングに関連するクエリをどう表示するか。

テキストだけでなく、マルチモーダルメディアアセット(MMA:音声や画像・動画、センサーといった複数のデータ)など、アクセスが容易なより良い方法があるはずです。それに従来のタイピングだけでなく、新しいフォームファクター(デバイスのかたち)や利用方法についても検討しています。それは、ユーザーが気にかけていること、検索していることをパーソナライズしたものになるでしょう。ユーザーが日常的に使う知識コンテンツになれば、「知識版TikTok」になれる可能性は十分にあると考えています。

──グーグルの検索エンジンが提示する「10個の青いリンクが煩わしかった」というようなことを他媒体で度々お話しされています。そのグーグルを含め、他社から得た教訓はありますか?
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スリニバス:グーグルの経験に学べることがあるとすれば、一つのビジネスモデルを追求しすぎて、収益源を分散させないことのリスクではないでしょうか。何か一つうまくいっているからといって、そのカゴにすべての卵を入れるものでしょうか? 広告モデルはあくまで戦略の一つに過ぎず、それにすべてを集中させることはしないと思います。でも、彼らはそうした。IPO(新規株式公開)の後は、他の収益源も見つけるべきでした。でなければ、検索の質で妥協せざるをえません。そのツケが、回ってきたのです。グーグル・クラウド、ユーチューブ、グーグル・ワークスペース、グーグル・プレイなど、他の収益源があるにせよ、グーグル広告ほど利幅の大きいビジネスではありません。

上場している大企業は、マージンがすべてです。投資家が決算報告で知りたいのは、「どれだけ利益を上げたか」です。そして、その割合が上がり続けているかどうか。市場はいつだって収益性の高いビジネスを求めています。だから、グーグルは極めて収益性の高いビジネスに集中したのです。しかしそのために、広告への依存を高めてしまった。その結果、検索の質でユーザーの期待に応えられなくなっている。それが、私たちのような新参者にとってはチャンスなのです。

アマゾン・ドット・コム創業者、ジェフ・ベゾスの言葉に「あなたのマージンは私のチャンスだ」というものがあります。企業は自社のマージンを守らなくてはなりません。でも、企業が儲かっていようがいまいが、ユーザーにとってはどうでもいいことです。彼・彼女らが求めているのは、素晴らしいUXだけです。それを提供できなければ、別の誰かが提供するでしょう。その誰かが、「私たち」なのです。
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文 = 井関庸介

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