AI

2024.08.08 15:45

AIで好奇心を刺激し、「検索」を進化させるパープレキシティ

話題のAI搭載型検索エンジン開発企業「パープレキシティAI」を率いるアラビンド・スリニバスCEO Courtesy of SoftBank

──テクノロジー企業の多くでは、トライアル・アンド・エラー(試行錯誤)を繰り返しながら短期間で事業を築くため、ミスをすることと、その改善がビジネスの前提となることがあります。その点へのメディアとの見解の相違や、メディアの反応に対して不満や不公平感を覚えることはありますか?
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スリニバス:誰だって、自分の仕事に所有感や思い入れをもつものです。それに、現状について冷静に考えるには時間がかかります。当事者であれば、距離を置いて第三者として状況を見るのは簡単ではありません。しかし真実にたどり着きたいのであれば、第三者として俯瞰することが不可欠です。そうすれば、今回のケースでは私たちに悪意がないことがわかってもらえるはずです。

私たちが「パープレキシティ・ページズ」のような機能に取り組んでいる唯一の理由は、すべてが学びになると考えているからです。そもそもチャットスレッドは、実際の記事を読むよりもUIの面ではるかに魅力に欠けます。先ほども申し上げましたが、私たちはなぜ、実際の記事をフィードとして使っているのか? ユーザーの好奇心を刺激したいからです。ユーザーはいつも質問をしたいわけではありません。ただ情報を消費しに来て、その情報を消費した後に質問したっていいわけです。

そのために私たちはパープレキシティを作りました。だから、私たちの真意が伝わっていなければ、敵意や縄張り意識をもってしまうかもしれません。あるいは、「我々と競合している!」と感じることでしょう。でも、そんなつもりはまったくありません。私たちは「(情報を収集する)アグリゲーター」なのです。コンテンツを作る人々と、消費する人々の間に立つより良い「仲介者」であろうとしています。そして、コンテンツを作るメディア企業と、私たちアグリゲーターのインセンティブを一致させる方法は存在します。
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いま、収益を共有することを考えています。我が社の製品が上げた収益を、ユーザーベースたるコンテンツ作成者の皆さまと共有するというものです。良いコンテンツがなければ、良い質問への回答もありえませんよね? 私たちは人々がオンライン上で作ったコンテンツを使うことで、ユーザーの質問に対して良質の回答を提供しています。だからこそ、ユーザーはパープレキシティにアクセスしてくれるのです。私たちは、コンテンツを作り、パープレキシティの回答を良いものにしてくれる人たちと利益を分かち合いたいのです。そこで、この収益共有プログラムを発表することにしました(編集部註:パープレキシティAIは2024年7月30日、米誌TIMEや独誌デア・シュピーゲルなどの出版社が参加する収益共有プログラム「Perplexity Publishers’ Program」を発表した。プログラムには収益分与のほか、APIへのアクセス、エンタープライズ向け製品の1年間無償供与などが含まれている)。

ドミトリー・シェヴェレンコ(以下、シェヴェレンコ):このプログラムについては、Forbesとの問題が起きる数カ月前から取り組んでいました。AIに多くの注目が集まることで、私たちに対して厳しい目があることは覚悟していましたし、それはしかたがありません。しかし剽窃や、その他のいくつかの批判に対しては反論をしています。虚偽だと考えているからです。

一部の批判的な人々に理解してほしいのは、我々が、メディア・ジャーナリズムの永続を願い、将来的なビジネスモデルへの懸念を共有している点です。それも、“無私の精神”などの偽善からではなく、“利己的”だからです。オープンな出版エコシステムが繁栄しなければ、パープレキシティの製品も存在しえないとわかっているからです。
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文 = 井関庸介

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