シェヴェレンコ:ええ、我々もナイーブではありませんからね。「盗んで勝てばいい」なんて考えでは、墓穴を掘るだけです。法的な問題以前に、ビジネスとして成り立ちません。我々が成功するには、出版社の成功が不可欠なのです。ジャーナリズムが成立する素晴らしいビジネスモデルが必要なのです。出版社への収益共有プログラムを実施するのは、見栄えや倫理からではありません。ビジネスとして賢明なのです。
──メディアにも剽窃といった過ちを犯すケースは少なからずありますが、AI企業などのテクノロジー企業の場合は反響が大きくなりがちです。
スリニバス:大小さまざまなメディア・アグリゲーターが同じことをしていますからね。それも、彼らの場合は競合です。その点、我々はメディアではありません。基本的に私たちは、誰も思いつきもしなかったことも質問できるようにしたいだけなのです。ニュースを奪い合うのではなく、誰もが質問できる場でありたいのです。
例えばドローンの記事を読んだユーザーは、「ドローン技術とは何だろう? 現状はどうなっているのか? 競合他社は?」と興味をもつかもしれません。いずれも、検索バーに来ただけでは尋ねることがなかった質問です。私たちの哲学は、人々が好奇心を抱くようなコンテンツを提供し続けることで、より多くの質問をしてもらえるようにすることなのです。
シェヴェレンコ:我々のビジネスモデルについて考える簡単な方法があります。アプリに寄せられる「質問の数」を増やすことです。面白い統計があります。パープレキシティで検索される質問の平均的な長さが「10ワード」なのです。クエリの履歴を見れば、おそらくグーグルよりも長いことがわかるでしょう。
我々はすでに、多くのユーザーの皆さまに質問をしてもらっています。これがコア製品や新製品を成長させるのです。好奇心を駆り立てることができれば、人はもっと「知りたい」と思うようになります。質問をしたいという欲求は、人間にとって根源的なものだからです。そして、その欲求は人間にしか持ちえません。我々は、その欲求を刺激し、拡張するためにテクノロジーを使えると考えています。