GPU開発で“一強”の米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が2024年3月に開いた開発者会議「GTC2024」で、米サーバー開発大手Supermicro(スーパー・マイクロ)が、NVIDIAの新型GPU「GB200」を搭載したAI向けサーバーの開発を発表。台湾出身の創業者たちによるタグは、大きな話題を呼んだ。
4月12日には、都内に本社を置く AIシステム受託開発「Datasection(データセクション)」が、スーパー・マイクロと業務提携に向けた基本合意書を締結したと日本経済新聞が報じた。主な内容は、AI向けサーバーの調達や、AIデータセンターの開設だという。
そこでForbes JAPANは、包括的業務提携を通じて3月1日にデータセクションの会長に就任した、バルクホールディングスの代表取締役CEO、石原紀彦氏に緊急インタビューを行った。米サーバー大手と提携合意に至った背景と経緯、狙い、そして今後の展望とは。
──データセクションがスーパー・マイクロとの業務提携に向けた基本合意書(以下、MOU)を締結しました。今回、MOUが実現した背景と経緯について教えてください。
石原紀彦(以下、石原):今、あらゆるビジネスが過渡期を迎えています。昨今の生成AIの急成長に象徴されるように、AIによるビジネスモデルの変化が想定されるからです。私が代表取締役CEOを務めるバルクホールディングスでは、サイバーセキュリティ事業を手がけていますが、サイバーセキュリティの領域もすでにAIとAIの対決になっています。
当然、サイバーセキュリティ戦略も進化しています。AIとサイバーセキュリティが切っても切れない関係にある点からも、これはすべてのセクターにおける重要戦略だと私は考えています。
ところが世界的にGPU(画像処理半導体)獲得競争が過熱する一方にもかかわらず、残念ながら日本は大きく出遅れています。それが近い将来、それも今年や来年にも圧倒的な経済競争力の差に直結してくる可能性がある──。そうした危機感から、喫緊の課題として取り組むべきだと考えていました。
そんなとき、ビッグデータやAIの基礎研究を手がけてきたデータセクションの経営陣から、AIに焦点を当てた新しい経営戦略について相談を受けていたこともあり、2024年2月、同社とバルクホールディングスとで包括業務提携を結び、私が会長に就任することになりました。
データセクションはAI、バルクホールディングスはサイバーセキュリティにそれぞれ軸足を置きながらも包括業務提携により緊密に連携するというものです。先ほど申し上げたように、サイバーセキュリティの領域にAIが使われるようになる以上、いっそうサイバーセキュリティとAIは密接不可分な関係になるからです。
AIはバルクホールディングスでも以前から製品・サービスに実装することを検討していたこともあり、今回、データセクションとスーパー・マイクロの提携が実現しました。