コンプライアンス違反、つまり意図的な法令違反、社会規範や倫理に反する行動が原因で倒産する企業が増加傾向にあることが、帝国データバンクの調べでわかった。不景気が続く日本の産業界は、とうとうモラルまで失ってしまったのか。
帝国データバンクは、コンプライアンス違反が取材で明らかになった企業の倒産(負債1000万円以上)を「コンプライアンス違反倒産」と定義し、その動向を調査しているが、2024年度のコンプラ違反倒産件数が379件と過去最多を記録した。2020年から4年連続で増加傾向になっている。

違反の内容は、粉飾が101件でもっとも多く過去最多。コロナ禍のゼロゼロ融資など、いろいろな支援策が粉飾の発覚を遅らせ、それがゼロゼロ融資の返済開始にともない一気に表面化したことで大幅な増加となったと帝国データバンクは指摘している。また、粉飾決済による倒産企業の負債規模が大型化し、金融機関など多くの取引先を巻き込む事態にもなっているとのこと。

そのほか、資金流出や横領を含む資金使途不正が61件、なかでも悪質なM&Aによる資金流出で倒産した企業の件数は10件以上にのぼった。コロナ禍の雇用調整助成金などの補助金の不正受給は55件とこれも過去最多だ。
企業の倒産件数は増加し続け、2024年度は11年ぶりに1万件を超えた。コンプラ違反倒産はそのうち3.8パーセントにあたるが、今後も増加する見通しだ。出口の見えない不景気とコロナ禍の極限状態でつい不正に走ってしまう企業の増加もあるだろうが、コンプラ違反に対する世間の目が厳しくなったこともあると帝国データバンクは見ている。企業の倒産は悲劇だが、不誠実な商売を許さない社会になり、これまで見逃されてきたコンプラ違反企業が摘発される時代になったのだと思えば、悪いことばかりではない。