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ヘルスケア

2025.04.30 09:15

天然温泉は睡眠の質を高めるか その効果を科学的に検証

Getty Images

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温泉に行くと脱衣場あたりに効能がずらずらと書き出されているが、ひとたび浸かれば心がほどけて、そんなことはどうでもよくなる。上がった直後に冷たいビールを飲んでしまえば効能のことなど忘れてしまう。だが、それでは科学的な態度とは言えない。効能を知っていれば温泉はもっと有効に活用できるのだ。

国内に173軒、海外に1軒のビジネスホテルを展開するスーパーホテルは、およそ100軒のホテルに天然温泉浴場を備えている。「ビジネス湯治のすすめ」としてリラクゼーション効果のある温泉浴を宿泊客にすすめているが、このほど秋田大学と睡眠関連製品のメーカー、ブレインスリープと共同で温泉浴が睡眠の質に与える影響の検証を行った。研究グループは、20代から60代の男女18人を対象に、湯元「花乃井」スーパーホテル大阪天然温泉にて実験を行った。参加者には、朝にシャワーを浴びる、就寝前に部屋のお風呂に入る、就寝前にホテルの天然温泉に入るという3つの入浴方法を、それぞれ3日間ずつ実行してもらった。お湯の温度は、部屋風呂と温泉ともに摂氏40度に揃えた。そのうえで、脳波、活動量、深部体温、アンケート評価による測定を行った。

まず、脳波による客観データから、就寝してから寝付くまでの時間「睡眠潜時」が温泉がもっとも短いことがわかった。アンケートによる主観データからは、「起床時眠気」(目覚めのよさ)、入眠と睡眠維持(寝つきがよく途中覚醒がない)、疲労回復(リフレッシュ感があるか)、睡眠時間(十分に眠れた感じがするか)の4つの項目において、いずれも温泉が高い成績を示した。

さらに、深部体温の最高値と最低値を計測したところ、温泉はその差がもっとも大きかった。この深部体温の落差が重要なのだ。秋田大学の上村佐知子准教授によれば、人の体には深部体温が上がりすぎないようにする仕組みがあるとのこと。深部体温が急上昇すると急激に下げようとするのだが、そのときに強い眠気を催すのだという。家のお風呂よりも強い加熱効果のある温泉は、深部体温を上げるのに非常に効果的だったというわけだ。

国内のスーパーホテルには、天然温泉浴場を備えたところが現在は104軒ある。ホテルごとに泉質が違うが、どの泉質でも血行をよくして深部体温を高める効果はあるようだ。ちなみに、温泉から出たらすぐに冷たいビールといきたいところだが、まずは水分補給を。ただし、睡眠重視ならばお酒はNGと覚えておこう。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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