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2024.02.19 12:00

年初来181%高、AI関連屈指の急騰株「スーパー・マイクロ」の強み

安井克至

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米ナスダック市場に上場するSuper Micro Computer(スーパー・マイクロ・コンピュータ)の株価は、2月16日にアナリストが冷や水を浴びせたことで急落したが、人工知能(AI)関連のトッププレイヤーの1社と見られている同社の株価は、それでも目を見張るような水準を維持している。

スーパー・マイクロの株価は16日に20%急落して800ドル強に沈み、上場後の17年の歴史で6番目の下落率を記録した。

しかし、この暴落の後でも、スーパー・マイクロの株価は年初来で181%上昇している。これは米国の大型株のベンチマークのラッセル3000の中で3番目に高い上昇率であり、過去12カ月の上昇率は、770%と米国の主要株で最高を記録している。

生成AIに必要な高性能サーバーを製造し、エヌビディアやインテルなどを主要顧客とするスーパー・マイクロの株価は16日の取引開始直後に一時1000ドルを突破したが、ウェルズ・ファーゴのアナリストのアーロン・レイカーズが同社に中立の評価を与え、1年間の平均目標株価を960ドルに設定したことを受けて下落した。

それでも、ウェルズ・ファーゴの目標株価の960ドルは、16日の終値からの20%近い上昇を示唆しており、これまであまり話題にならなかったスーパー・マイクロに対する機関投資家の支持が高まっていることを示している。バンク・オブ・アメリカは15日、スーパー・マイクロの目標株価を1040ドルに設定していた。

スーパー・マイクロのAIサーバーの市場シェアは現状で10%とされており、今後の3年間でAIサーバーの市場が約150%拡大するのにともない、同社のシェアが17%に拡大するとバンク・オブ・アメリカは予測している。

ローゼンブラットのアナリストのハンス・モーゼスマンは先月の顧客向けメモで、スーパー・マイクロを「AI分野のスイス」と呼び、現在進行中のAI市場の競争でどの企業がトップになろうとも利益を得られる同社のポジションを、永世中立国のスイスになぞらえた。

スーパー・マイクロは16日の市場で100億ドル以上の時価総額を失った。同社の現在の時価総額は約450億ドルで、2022年末の40億ドルを400億ドル以上も上回っている。

AIの楽観論に後押しされ、ここ数週間で同様な上昇を記録した英国のチップ設計会社アーム・ホールディングスの株価も16日に5%下落した。年初来で株価を80%以上も上昇させたアームの時価総額は現在1300億ドルで、上昇率はエヌビディアの約50%を上回っている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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