AI

2024.08.08 15:45

AIで好奇心を刺激し、「検索」を進化させるパープレキシティ

──重要なのはAIではなく、ユーザー自身ということでしょうか。

スリニバス:そういうことです。好奇心こそが、私たち人間を人間たらしめているのです。そしてAIが、その好奇心を刺激するでしょう。好奇心を満たす答えを得るのは簡単ではありませんが、これからは少ない労力ですぐに得られるようになります。人生も変わるかもしれません。パープレキシティは、好奇心を増幅させるためにAIを使おうとしています。人類にとって代わろうなどと思っていません。だから、人類の未来を脅かすような超人的な知性、いわゆる「AGI(汎用人工知能:人間と同等の知能をもつAI)」のようなものには興味がないのです。かといって、自画自賛して「これは偉業だ」とうぬぼれるつもりもありません。
大規模言語モデル(LLM)は、知識や情報を扱うのがどんどん上手になっています。どんなトピックについても世界の専門家と話すことができ、ダメな質問をしてもバカにされる心配がない世界を想像してみてください。自動的に読むべき記事を提案してくれ、読みきれない記事も的確な解説をしてくれる──。きっと、「すごい!」と思うはずです。興味あることを見つけるのも早くなるでしょう。しかしAIが超強力でパワフルな世界であっても、人間は常に一歩先を行き、これらのツールを使いこなし、非常に生産的な人生を送ることができると思います。
 
ソフトバンクとの提携を発表したパープレクシティAIのスリニバスCEO Courtesy of SoftBank

ソフトバンクとの提携を発表したパープレキシティAIのスリニバスCEO Courtesy of SoftBank

──パープレキシティのミッションとは、具体的にどういったものでしょう?

スリニバス:世界中の知識をあなたの指先に。世界で最も知識集約型の会社であろう。地球上のすべての人が、好奇心を通じてつながれるように。それが私たちの目標です。

──グーグルも「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにする」というミッションを掲げ、検索エンジンに始まり、グーグルアースやグーグルマップ、ユーチューブへと「整理する情報」の範囲を広げてきました。パープレキシティも新たな製品や事業に分岐していく可能性があるということでしょうか?

スリニバス:ええ、まちがいありません。だからこそ、発見エンジン「Discover(発見)」を作っているのです。ユーザーが質問をする必要さえなく、“知識の庭園”を永遠に散策できるようなものを目指しています。その後は、ユーザー個々人に特化したものにできれば。音声をはじめ、さまざまな形態で利用できるようにしたいですね。こんな場面を想像してみてください。話を聞いている途中で、それを遮って質問できる──。素晴らしいでしょう? 私たちはまず、「回答エンジン」から「発見エンジン」に移行したいと思っています。それが、これから起こるさまざまなことの始まりになるのではないでしょうか。
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文 = 井関庸介

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