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2024.08.08 15:45

AIで好奇心を刺激し、「検索」を進化させるパープレキシティ

話題のAI搭載型検索エンジン開発企業「パープレキシティAI」を率いるアラビンド・スリニバスCEO Courtesy of SoftBank

──パープレキシティを「検索エンジン(Search Engine)」ではなく、「回答エンジン(Answer Engine)」と呼んでいますね。定義によっては、昔からある「Ask Jeeves(現アスクドットコム)」や「Wolfram|Alpha(ウルフラム・アルファ)」も該当するかと。「回答エンジン」を開発しようと思った原点はどこにあるのでしょうか?
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アラビンド・スリニバス(以下、スリニバス): 人は本質的には好奇心旺盛だと、私は思っています。人にものを尋ねるとき、キーワードで話し始めることはありませんよね? 文章で質問をするはずです。「これはいつのものかわかる?」「おいしい寿司屋を知っている?」というふうに。これまでのテクノロジーではそれがムリだったのが、今はできる。いくつかの単語を入力するという、この20年の間でグーグルによって鍛えられてきた私たちの“マッスルメモリー”が変化しつつあると思います。ついに、「そうか! キーワードを入力してリンクを開いて読んだりしなくていい。質問をすれば、答えが返ってくるんだ!」と気づいたわけです。

これは、パラダイムシフトですよ。好奇心を満たすために、インターネット上にある情報を入手するには自然な方法です。より早く学ぶこともできます。5つのリンクを読むのにかかった時間で5つの質問をして、30〜40のリンクを表示させ、関連する回答だけを選べばいい。ある意味、“超人”になれるのです。人間は新たな“超能力”を手に入れるたびに適応し、思いも及ばなかったような方法でそれを使ってきました。グーグルが登場する前は、インターネット上で情報を見つけるのが難しかった。インターネットが登場する前は、どんな情報も見つけるのが難しかった。願わくは、パープレキシティの「回答エンジン」以降は、「キーワードを入力し、リンクを開いて読んでいた時代があったなんて信じられない」というふうになってほしいですね。

──ユーザーが玉石混淆のインターネットから欲しいのは正確な情報ですが、パープレキシティはその手段になる、と。
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スリニバス:もちろん、100%正確というわけではないですよ。「ハルシネーション(幻覚:事実とは異なる情報を生成する現象)」を起こすこともあります。

──ハルシネーションについては多くの事象が報告されていますね。

スリニバス:とはいえ、ハルシネーションの発生率は下がっています。AIの進歩がその助けになるでしょう。それでも、ユーザーの皆さんに私たちの手綱を握っていてほしいのです。「私たちもまちがえることがあります。だから、ユーザー自身で(回答の事実を)しっかり確認してください」と言いたいのです。もっとも、私たちは他社のボットとは違って、回答の出典をクリックしやすくしているつもりです。最初に目に付くのは回答ではなく、出典です。

パープレキシティでは、人間が作成した情報しか使っていないと、最初からはっきりさせています。言ってみれば、他者への信頼のようなものです。ユーザーは、世に出回っているものすべてを読む時間などありません。そこで、AIが代わりに読んで、それを咀嚼した、とても簡潔な回答を提供します。もっと深く知りたければ、ユーザーは出典をクリックして、自分で読めるわけです。ウィキペディアとChatGPTのいいトコ取り、とでも言いましょうか。ウィキペディアとChatGPTの間で生まれた赤ちゃんが、「パープレキシティ」なのです。
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文 = 井関庸介

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