サイエンス

2025.03.25 18:00

恋人同士のケンカの9割に別の真因あり 「隠れた本音を知る方法」を心理学者が解説

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悪循環を断ち切る

ほとんどの争いが目の前の問題ではなく、心の底にあるニーズに関するものだと認識できれば、意見の相違へのアプローチを変えられる。言われたことにただ反応するのではなく、隠れされた真の意味の理解に努めるべきだ。表面的な議論に終始するのではなく、本当に重要なことについて話し合うにはどうすればいいのだろうか。注意すべきことは以下のポイントだ。

1. 反応する前に、根底にある感情を特定する

反応する前に立ち止まり、このように自問してみよう。「この争いは本当に、今起きたことについてのものなのか? それとも、もっと深いところにある何かが呼び起こされたのだろうか?」

『Psychological Science』に発表されたある研究では、「名前を付けることで対応しやすくする効果(name-ease effect)」について論じている。ひとつの概念として名前を付けることで、その概念がより明確で重要だと感じられるようになるという効果のことだ。これは争いにも当てはまる。真の感情的な問題に名前を付けることは、あなたとパートナーの両方が、より効果的に対処する助けになるだろう。

例えば、次のような場合だ。

・パートナーがシンクに食器を放置していることに腹を立てているとき、それは単なる食器の問題だろうか? それともふたりの関係において、自分がより多くの家事をしていると感じているのだろうか?

・パートナーがテキストメッセージに返信しなかったとき、それは単なるテキストメッセージの問題だろうか? それとも自分は重要ではない、あるいは拒絶されていると感じているのだろうか?

表面的な不満に焦点を当てるのではなく、核心となる感情を特定し、名前を付けることで、問題をより理解しやすく、対処しやすくするのだ。こうすることで口論をエスカレートさせることなく、解決へと導くことができる。

2. 単なる不満ではなく、自分の「より深い感情」を表現する

「あなたは家事を手伝わない」と言う代わりに、こう言ってみよう。「すべてをひとりでこなしていると、圧倒されてしまい、見捨てられたように感じる。私たちはチームだ、と感じたいのに」

また、「あなたは私を気に掛けていない」と言う代わりに、こう言ってみよう。「あなたから連絡がないと、切り離されているように感じる。もっと連絡を取り合う方法はないだろうか?」

「相手の批判」から「自分の傷つきやすさ」へと焦点を移すことで、パートナーは、防衛的になることなく、あなたの話に耳を傾けやすくなる。

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翻訳=米井香織/ガリレオ

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