極めて健全な関係のカップルでも、まったく喧嘩をしないということはないだろう。だが関係が健全か不健全かを分けるのは、ふたりが対立をどうとらえるかにかかっている。
長続きするカップルは対立を恐れない。対立を回避できる「悪」ではなく、避けられない「善」としてとらえている。そして、対立が激しい議論や怒鳴り合いである必要はないことを知っている。むしろ対立は単に意見や感じ方、満足感の違いから生じるものであり、最終的には自分たちに恩恵をもたらすものだと認識しているのだ。
もしあなたがパートナーとの対立の良い点、または善悪どちらでもない点を見出すのに苦労しているのなら、安心してほしい。苦労しているのは、決してあなただけではない。多くの人にとって、対立は恐ろしいものだ。議論をヒートアップさせないために必要な知識や手段がないと、すぐ手に負えない状態に陥り、しかも繰り返すことになる。
カップルの関係の専門家として有名なジョン・ゴットマン博士は、研究に基づく自著『ザ・ニュー・マリッジ・クリニック』のなかで、対立を双方にとって有害なものではなく、有益なものにするための4つのシンプルなコツを紹介している。これらを常に実践すれば、対立が必ずしも悪いものではないことが分かるはずだ。ゴットマンが提案する、効果的に対立を収める4つの方法は次の通りだ。
1.非対立的なアプローチ
カップルが問題を話し合うときに犯す最大の過ちのひとつは、いきなり相手を責めたり批判したり、不満をぶつけたりすることだ。 対立時に感情的になることは理解できるが、会話の始め方がその後の展開を左右することが多い。
敵意をもって口火を切ると、相手はムキになることが多い。 すると建設的になるはずだった話し合いが、らちがあかない口論に発展してしまう。
ゴットマンの研究は、「非対立的なアプローチ」の重要性を強調している。つまり落ち着いて明快に、配慮をもって対立に臨むのだ。即座に非難したり、十把一からげに考えたりするのではなく、会話が続くような形で自分が抱いている懸念を表すといい。
例えば、自分の意見をパートナーに聞いてもらえていないと感じているとしよう。まずひとつめの選択肢としては相手に、「あなたは私の話を全く聞かない。私の言うことを気にも留めない」などと伝えることができる。だが、それでは会話が始まる前からパートナーは戦闘モードに入ってしまう。
ふたつ目の選択肢としては、「私たちが何かについて話すとき、私の意見をいつも聞いてもらえていないように感じる。お互いの認識が同じであることを確認したい。でも今は一致していないように感じる。一致させる方法を見つけられないだろうか」と穏やかに始めることもできる。
柔らかな口調や言葉でアプローチすれば、結果は大きく違ってくる。なぜなら最初から相手の性格を攻撃するのではなく、実際に相手が応えられるような自分のニーズを伝えているからだ。
覚えておいてほしい。対立をうまく収めることができるカップルは、難しい話し合いを避けないことを。そしてどのように話題をもち出すかには、配慮をする。穏やかに話を始めれば、双方向の対話のムードが生まれてくる。口論がエスカレートするのではなく、相手に自分の言動を見直す機会を与えることになる。これはお互いのためだ。決して批判で得をする人はいないのだ。