ウクライナ国家親衛隊の旅団にウクライナで指折りの戦車が配備され始めている。ウクライナ内務省のおよそ10万人規模の準軍事組織である国家親衛隊を率いるオレクサンドル・ピウネンコ司令官(准将)は先週、隷下の一部旅団がドイツ製のレオパルト1A5戦車とレオパルト2A4戦車を受領したことを明らかにした。
ピウネンコはフェイスブックへの投稿のなかで、両戦車について「すでに戦闘状況下で有効性を証明している」と書いている。「現代の戦場においてきわめて重要な高い機動性、火力、信頼性を兼ね備えている」とも評価している。
重量約42tのレオパルト1A5は105mm砲を備え、同約55tのレオパルト2A4はより大口径の120mm砲を装備する。どちらも乗員は4人だが、より重いレオパルト2A4のほうが防護力は格段に高い。
両戦車が国家親衛隊のどの部隊に配備されているのかは不明だが、2000人以上の規模のいわゆる「攻撃護衛」旅団がおそらく最初だろう。
国家親衛隊のほか、同じく内務省傘下のウクライナ国家警察とウクライナ国境警備庁のもとに現在計12個あり、志願者で構成される攻撃護衛旅団は、ウクライナ陸軍、空挺強襲軍、海兵隊と同じ基準の訓練と装備を施されている。
もっとも、国家親衛隊の戦車戦力が強化されているからといって、ウクライナの戦車戦力が全体的に拡大しているというわけではない。この動きはむしろ、ドローン(無人機)時代に対応した、ウクライナの戦車ドクトリンの全面的な書き換えの一環とみるべきだ。
ウクライナ軍はこれまでに戦車を1000両以上失っており、その多くがロシア軍のドローンによるものだった。ウクライナ軍の首脳部はこれを受けて、小型ドローンが四六時中いたるところを飛び交う戦場で重武装の装甲車両が生き残るには、従来と異なる運用方法が必要になることを認めた。
戦車の乗員にはきわめて慎重な運用が求められる。ふだんは戦車を納屋やガレージ、地下の壕などに隠しておき、ときおり砲撃を行う場合のみそこから出して、砲撃後はすぐに再び隠す、いった戦い方だ。
ジャーナリストで研究者のデービッド・キリチェンコはこうした状況を「慎重な戦車の時代」と表現している。