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サイエンス

2025.03.25 18:00

恋人同士のケンカの9割に別の真因あり 「隠れた本音を知る方法」を心理学者が解説

Shutterstock.com

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すべての口ゲンカが、見たままとは限らない。テキストメッセージの返事がない、シンクに食器が溜まっている、といったささいなことが、本格的な争いに発展し、「どうしてこんなことになったのだろう?」と疑問に思うときがある。

実際、ほとんどの衝突は議論されている表面的な問題から来ているわけではない。衝突に関する「90対10の法則」によれば、けんかのうち目前の問題に起因するものは、わずか10%だ。90%はより深い感情、つまり満たされないニーズや過去の傷、口に出さない不安によって引き起こされている。けんかの引き金だけに注目すると、真の問題を見逃してしまい、同じ議論が繰り返されることになる。

では、どうすれば悪循環を断ち切ることができるのだろうか? それは、衝突の真の原因を理解することから始まる。そして、表面上の問題だけでなく、その根底にある問題に対処する方法を学ぶことが必要だ。

表面的な引き金と、心の底にある感情

ほとんどの衝突は、一見すると忘れられていた家事、返信されていないテキストメッセージ、関係性における努力不足といった表面的な問題に見える。

これらの引き金には、シンプルな解決策があるように見える。例えば相手の話をもっと聞く、デートの計画は相手だけに任せず自分も行う、メッセージにもっと反応するといったことだ。しかし、たとえ行動を修正しようとしたとしても、多くの場合、緊張はそのまま残る。なぜならそうした引き金は、けんかの10%を占めているのにすぎないからだ。

真の火種は行動そのものではなく、その行動が心の奥深くで何を意味しているのかにある。デートの約束がキャンセルされると、自分は重要でないという感情が引き起こされるかもしれない。テキストメッセージを無視されると、自分を透明人間のように感じた過去の経験を思い出すのかもしれない。衝突の90%はそうした心の底にある感情、つまり、満たされない欲求や関係への不安から生じている。

服役中の女性のあいだで起きた暴力的な口論を分析した研究では、一見ささいに見える争いも、実際には支配権や社会的階層を巡る争いであることがわかった。役割や地位が不明瞭な場合、小さな意見の相違が支配権を巡る争いに発展していた。

恋愛関係において、身体的な暴力は決してあってはならないことだが、心理的なメカニズムは似ている。ささいな争いはしばしば承認や自立、心の安定を求める、より深い葛藤を覆い隠している。

例えば下記のようなケースが当てはまる。

・「あなたは私の話を聞かない」と相手が言ったとき、本当はこういう意味が隠されているのかもしれない。「誰も耳を貸してくれない、自分は重要でないと感じている。私はこの関係で、大切にされていると実感したい。両親や友人、過去のパートナーとの関係で、自分を透明人間のように感じたことを思い出してしまう」

・「なぜあなたは、デートの計画を立てないの?」と相手が言ったとき、本当はこう言いたいのかもしれない。「私は、自分は求められている、自分は特別な存在だと感じたい。デートの計画をいつも自分ばかりが立てていると、自分だけが努力しているように感じる。あなたにとって私は大切でないのでは、と疑ってしまう」

・「ふたりでいるとき、あなたはいつも携帯電話に気をとられている」と相手が言ったとき、本当はこう感じているのかもしれない。「自分は優先されている、と感じられない。私はあなたの携帯電話と(あなたの関心を得ようとして)競争していて、しかも負けていると感じて心配だ」

問題はこうした不安や感情が、言葉にして伝えられることはめったにないということだ。その代わりにカップルは、10%について言い争う。つまり、表面的な不満についてだ。なぜならその方が、自分の弱さを認めるよりも安全だと感じるためだ。そして根本的な問題については語らないため、同じ争いが異なる形で再燃し、失望と誤解の悪循環に陥ってしまう。

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翻訳=米井香織/ガリレオ

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