ニューヨーク、カリフォルニアなど、地球温暖化の影響で海面が上昇し、水没の危機に直面する島や都市が、世界には数多くある。そのひとつが、日本人にも馴染みのあるリゾート、ハワイだ。しかも、最新の調査によって、ハワイは予測の40倍もの速さで沈んでいるという。その影響は観光客にも少しずつ出始めているようだ。
ハワイ大学の調査で判明 予測を上回る速度で沈み行く事実
ハワイ大学マノア校の地球物理学者、カイル・マレー氏とその研究チームが3月に発表した内容によると、オアフ島の一部の沿岸地域で、地盤沈下の速度がかなり速まっているという。
研究チームは、ハワイ諸島の約20年分の衛星データを分析。さらに、地表面の標高を高解像度でデジタル表現した、高解像度デジタル標高モデルを開発し、それらを組み合わせることで、地盤沈下の割合を算出した。
その結果、オアフ島全体の年間沈下率は0.6mmだった。だが、オアフ島の南部にあるマプナプナと呼ばれる地域では、年間沈下率が25mmに達しており、島全体と比べると40倍の速さになっているのだ。1950年以降のハワイ全体の平均年間沈下率1.54mmと比べても、かなりの速さで沈んでいることがわかる。
ハワイ大学の調査資料によると、マプナプナ地域は堆積物や人工盛土でできた工業地帯。そのような埋立地であることが、地盤沈下のリスクを高めていると考えられる。カイル・マレー氏は「急速に地盤沈下が進む地域では、海面上昇の影響が、これまでの予測よりもはるかに速く感じられるだろう」と指摘している。
そしてこのマプナプナ地域は、ハワイの空の玄関であるダニエルKイノウエ国際空港と、観光の中心地であるワイキキのちょうど中間あたり。つまり、観光客の大半が訪れるエリアも、今後はさらに地盤沈下の影響を受けていく可能性があるのだ。「2080年までに、ダニエルKイノウエ国際空港やワイキキ、ホノルル中心部では、洪水が頻発するようになる」と予測する報道もある。