人類のプロダクトの歴史は「第3章」に入った
藤吉:以前、この連載で半導体をはじめとした製造業のプラットフォームが残っている日本から、今後、人類にイノベーションをもたらす新たなプロダクトが誕生する可能性もあるというお話をしていただきました。
阿部:産業革命以降のプロダクトと世界経済の歴史でいえば、今は「第3章」に当たると思うんです。つまり「第1章」は蒸気機関の発明に象徴される産業革命の時代、「第2章」は電気の発明に始まり、「世界の工場」として日本や中国が家電を作りまくり、アメリカはソフトウェア開発を担って、世界中の人々の生活を便利にしたわけです。ここから人類は「第3章」に入るんです。
藤吉:第3章はどういう時代になるんでしょうか。
阿部:第2章において、第3章で人類が向き合うべき課題が出てきたんです。その最たるものは、環境です。第1章、第2章の時代までは、公害の問題はありましたが、正直、環境はそこまで大きくクローズアップされなかった。けれど今や、人類にとって最優先事項ですよね。気候変動にどう対応していくか、というのが第3章における最大のチャレンジになると思う。
もうひとつは、人口です。日本はもちろん中国も今後は人口が減っていきます。世界で増えるのはアフリカだけです。その意味で今、すごく重要なポイントにいて、アフリカがインドの人口を抜いたんですよ。食糧問題も含めて、今後、アフリカにどう対処していくかという新しい問題に世界は直面することになります。
※1)開拓使設置(1869年)から屯田兵制度廃止(1904年)と定義。
※2)Relative impact of an innovation scaled by the degree of consensus between economic historians. The underlying data assumes that all innovation platforms follow a characteristic investment and realization cycle of similar duration. Data Sources: Helpman, E. (2010). General Purpose Technologies and Economic Growth.; Brynjolfsson, E., & McAfee, A. (2018). The second machine age.; Kurzweil, R. (2016). The singularity is near.
出所: ARK Investment Management LLC, 2019.よりスパークス・アセット・マネジメント作成
藤吉:このイノベーションの変遷のチャートを見ていると、近年のAI以降は、いわゆる「新結合」(経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが提唱した概念。これまで組み合わせたことのない要素を組み合わせることによって、新たな価値を創造すること)がすごいスピードで起こっていますね。そのインパクトもどんどん大きくなっている。