マーケティング

2025.05.14 16:15

大人気・英米アマゾン『日本製品ストア』売上9200万ドル超、売れ筋は「ノコギリ」

Amazon.com「JAPAN STORE」

Amazon.com「JAPAN STORE」

「JAPAN STORE」はアマゾン ジャパンと独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)の共同企画「JAPAN STOREプログラム」に基づいてAmazon.com、Amazon.uk内に設置されている日本製品特集ページだ。2021年にはアメリカ向け、2022年にはイギリス向けにそれぞれ開設され、現時点で1100社を超える日本企業が参加している。

アマゾン ジャパンによれば、2024年の「JAPAN STORE」での売上高は9200万ドル超で、前年比で15%超の増加という。販売個数は2024年に320万点以上と、こちらも前年比で17%増となっている。

何がそんなに売れている?

ではAmazon.com、Amazon.ukで躍進している日本製品は、具体的にどのようなものが人気なのだろうか。

売り上げランキングの上位には抹茶や旨味出だし、醤油などいかにも日本らしい、と思える製品が記載されている。他にもガンダムやサンリオなど日本発の、強いブランド力を持つキャラクターグッズも多い。

しかしその中には、一見して意外と思われる商品も複数並んでいる。

たとえばアメリカでは複数の日本ブランドの剪定ばさみが売り上げ上位にランクインしている。ある剪定ばさみには1000件以上のレビューが寄せられており、五つ星に近い評価を得ているのだ。レビューには耐久性や切れ味を賞賛するコメントが多い。

Getty Images
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同商品はもちろん日本でも購入することができる。しかし1カ月間の販売数を比較してみると日本では約100点、アメリカでは約800点と、8倍もの差があるようだ。

確かに専用品を必要とする規模感の園芸、造園は日本よりも海外でよく行われているイメージがある。しかしそこで選ばれている道具が母国製ではなく日本製であるというのは興味深い。

マホガニー材が「バターのように」切れる?

イギリスでも同じ類いの商品がよく売れている。ノコギリだ。レビュー欄で「マホガニー材がバターのように切れる」と賞賛される日本製ノコギリが、イギリスの売り上げ上位にランクインしているのである。研石までもがベストセラーとなっているあたり、どうやら海外の認識において刃物は日本の得意ジャンルであるらしい。

他にも意外な製品としては、ノートや猫用の爪切り、水性ペンや接着剤など、こまごまとした日用品が挙げられる。私たち日本に住む大多数の人間がアマゾンなど使わず、近所のコンビニや100円ショップで済ませてしまうような商品群だ。

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イギリスではKOKUYOのキャンパスノートが人気である。海の向こうでこのノートは高級品の部類に入るらしく、なんと5冊セットで11ポンド、日本円で約2000円にもおよぶ。1冊約400円という計算になり、これは日本における5冊セットの値段と大差ない。昨今の強烈な円安を鑑みたとしてもなかなかインパクトのある値付けだが、それでもよく売れているようである。

レビューでは紙質や書き心地を賞賛するものが多い。「完全に平らに書ける」という、ノートの存在意義とも呼べる部分に対する大袈裟な褒め言葉まで並んでいる。

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文=松尾優人 編集=石井節子

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