いま、日本の中小型株が世界中から熱い視線を浴びている。1989年の創業当初からこの「中小型株」に注目し続けてきたスパークス代表・阿部修平。
伝説の投資家、ソロスとバフェットの薫陶を受けた分析力が導く、この時代の波をつかむ方法。
藤吉:今回はズバリ「有望な中小型株をどうやって探すのか」というテーマでお話をうかがいたいんです。というのも、投資顧問会社としてのスパークスの最大の強みは、”中小型株に絞り込んで日本の新しい成長を買う”という投資戦略にあると思うんです。
そもそも創業当初から阿部さんが中小型株に注目されたのは、なぜだったんですか。
阿部:僕がスパークスを創業したのは1989年7月ですが、その前は9年間アメリカにいて、ジョージ・ソロスやピーター・リンチから「投資の何たるか」を学んだんです。
藤吉:ピーター・リンチは阿部さんがニューヨークの野村総研に務めていた頃の顧客でしたよね。それで野村から独立した後、ジョージ・ソロスのもとで日本株のポートフォリオマネージャーを務められた。
阿部:そうです。で、その頃のアメリカでは、「バリュー投資」が主流になりつつあったんです。株式投資には大まかにいってふたつの手法があって、ひとつが「バリュー投資」で、もうひとつが「成長株投資」です。成長株投資は、ある企業の現在の価値よりも将来の利益成長に重点を置く。つまり100円で買った株が企業の成長によって300円になると期待して投資する手法で、アメリカでも1929年の大恐慌まではこちらが主流でした。
藤吉:株式投資ときいて、多くの人がイメージする手法ですね。
阿部:けれど大恐慌によって持っていた株が一瞬で紙クズになった経験をしたアメリカの投資家たちは反省するんですね。未来の成長を期待して株を買うのはリスクを伴う、と。
その反動で「未来のことはわからないんだから、今、わかることをもとに企業の価値を判断しよう」という動きが出てきた。
具体的には企業のバランスシートなどを精査することでその企業の現在の実態価値を見極め、現在の株価と比較するわけです。もし企業の実態価値よりも株価が安ければ、その株は”お買い得”だから投資すればいい━━これが「バリュー投資」の考え方です。基本的には資産の価値に対して株価を見ていく。