多極化時代に有望な「中小型株」を見つけるヒント

「ユニクロ柳井さん」との初対面

阿部:そうです。それで改めてバリュー投資の考え方をベースに日本の市場を眺めてみると、中小型株が非常に安いことに気付いたんです。だからスパークスを創業したときに、日本の中小型株に絞った投資戦略を前面に打ち出しました。

藤吉:その頃、阿部さんが投資していた小型株の銘柄というのは、具体的にはどういう会社だったんですか。

阿部:今も成長し続けているところでいうと、新潟を拠点とするホームセンターのコメリとか、ニトリとか、あとは何といってもユニクロですよね。ファーストリテイリング。

藤吉:当時はまだ広島証券取引所ですよね。ものすごく早いですね。

阿部:本社が山口県の宇部にありました。その頃から年齢、性別を問わず「誰もが着られる服」という基本コンセプトのもと、全体の85%を自社で企画・生産管理していました。

当時、柳井さんに会いに行って「目指す企業は?」と尋ねたら、「日本では唯一、小売業のなかでセブン・イレブンを尊敬してます」と答えたのを覚えています。

藤吉:アパレルではなく小売というのが面白いですね。

阿部:要は、セブン・イレブンのようなチェーン・オペレーションをアパレルの分野で展開したいという趣旨だったと思います。

藤吉:ファーストリテイリングに注目されたのはなぜですか。

阿部:僕はアメリカにいたんで、柳井さんのいう「誰もが着られる服」というコンセプトが意味するところがよくわかった。当時の日本のお父さんたちが休日に着る服といえばゴルフウェアかジャージぐらいで、手頃でカジュアルな服がなかったんです。

それと時期的に、価格破壊型の多店舗展開というモデルがいろんな業種で普及し始めた頃でもありました。回転寿司とか家電量販店とかね。ユニクロもそういう時代の潮流の中で出てきたという認識でした。

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「価格破壊」と「多店舗展開」

藤吉:阿部さんが1996年に出された著書『いま、この企業に投資しなさい』を見ると、この時点でもうニトリにも注目されてますね。北海道発祥のニトリが本州に第一号店を構えたのは、この本が出るわずか3年前(1993年)です。

阿部:やっぱりアメリカにいたときに、アメリカ人の家具とかインテリアに対するこだわりを見ていたんですよね。いずれ日本の消費者の間でも、そういうニーズが高まってくるとは思いましたが、当時の日本ではタンスはタンス売り場で、ソファはソファ売り場で単品で買うしかなかった。

けれどニトリにいけば、ソファにあわせて壁紙もカーペットもカーテンも買える。家具とインテリアのトータルなコーディネーションを提供できる企業として、”これはこれから伸びる”と思いました。

藤吉:ユニクロもそうですが、将来的な日本人のライフスタイルの変化の予兆を感じてとっていたわけですね。

実際、その後、2000年に大店法(大規模小売店舗法:大規模小売店舗の出店に伴う周辺の中小小売業者の事業機会を保護することを目的として1973年に施行された法律)が廃止されています。規制緩和による日本の商習慣の変化とこれらの企業の成長がリンクしているんですね。

阿部:そうそう。「価格破壊」も「多店舗展開」も、ただのキャッチフレーズとして言ってるんじゃなくて、自分なりに企業をリサーチした結果、成功の要素がそういう言葉に集約されたんです。たぶん、日本で最初に、「価格破壊」というコンセプトで企業を調査した投資会社がスパークスだったと思います。

藤吉:そうですよね。

阿部:だから僕は今、みんなに、日本の次なる時代を一言で表す「成長のキーワード」を探そうと言ってるんです。スパークスが投資会社として創業以来35年間生き残って来れたのは、常に時代をリードする新しいキーワードを見つけることができたからに他なりません。

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text by Hidenori Ito/ photograph by Kei Onaka

連載

市場の波をつかむ12の方法 スパークス代表・阿部修平×Forbes JAPAN 編集長・藤吉雅春

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