宇宙

2025.05.13 16:00

フラワームーンの満月が「さそりの心臓」と共演する、今週の夜空

イタリア南部の港町モルフェッタにある中世の監視塔トッレ・カルデリーナの背後に上る5月の満月「フラワームーン」。2024年5月22日撮影(Davide Pischettola/NurPhoto via Getty Images)

イタリア南部の港町モルフェッタにある中世の監視塔トッレ・カルデリーナの背後に上る5月の満月「フラワームーン」。2024年5月22日撮影(Davide Pischettola/NurPhoto via Getty Images)

今週は月が主役だ。13日に南東から昇る色鮮やかな「フラワームーン」の満月は、さそり座の赤色巨星アンタレスと2夜連続で共演したのち、徐々に欠けてゆく。月の出の時刻も毎晩遅くなり、週明けには夜半過ぎまで暗い空が戻ってくる。5月第3週の夜空について知っておきたいことをまとめた。

5月13日(火):「フラワームーン」の満月が昇る

5月の満月は、米先住民の農事暦で「フラワームーン」の呼び名を持つ。満月(望)を迎える正確な時刻は13日午前1時56分だが、その美しさを満喫するなら13日の月の出を待つのがベストだ。南東の地平線を見つめていれば、柔らかなオレンジ色に包まれた丸い月が昇ってくる。この色彩は、月が明るさを増して白く輝き始めるまでの約15分間だけ見られるご褒美だ。この夜の月はさそり座の中にあり、深夜~明け方にかけて1等星アンタレスと並んで見える。

5月の満月「フラワームーン」、オレゴン州で撮影(Shutterstock.com)
5月の満月「フラワームーン」、オレゴン州で撮影(Shutterstock.com)

5月14日(水):月とアンタレスが接近

ほんの少しだけ欠けた十六夜の月が、日没の1時間ほど後に昇ってきて、さそり座の「心臓」の位置にある赤色巨星アンタレスの近くで輝く。

2025年5月14日(東京:23時30分ごろ)の南南東の空(Stellarium)
2025年5月14日(東京:23時30分ごろ)の南南東の空(Stellarium)

地球から約550光年の彼方にあるアンタレスは、天球上の太陽の通り道である黄道の近くに位置し、やはり黄道付近を移動して見える火星と色合いが似ていることから「火星のライバル」の異名で知られている。今宵、アンタレスは月の鮮やかな白色と見事なコントラストを見せるだろう。

今週の星座:かんむり座

空が暗くなってから、北斗七星の「ひしゃくの柄」のカーブをそのまま伸ばしていくと、東の空でオレンジ色に輝くうしかい座の1等星アルクトゥルスが見つかる。かんむり座はその左下、ヘルクレス座との間にある星座だ。7つの星が半円形に弧を描いて並んでいて、5月の夜空では見つけやすい星座といえる。

かんむり座とうしかい座(Shutterstock.com)
かんむり座とうしかい座(Shutterstock.com)

「北の王冠」と呼ばれるこの星座を今探してみるべき理由は、かんむり座にある珍しい連星系がまもなく「新星爆発」を起こすからだ。アルクトゥルスとかんむり座を結んだ線をさらに左下へ伸ばしていくと、こと座の1等星ベガがある。

今週の星空観察:月を追いかけよう

毎晩、月の動きを追っていると、夜空のリズムがわかってくる。月の位置は夜ごとに約12~13度ずつ東へ移動するが、これは見かけ上でちょうど人間の握りこぶし1つぶんの幅より少し広いくらいだ。来月11日に「ストロベリームーン」の満月が昇るまでの朔望周期の29日間、夜な夜な欠けては満ちてゆく月が、1等星や星座たちの間をどのように移動していくか観察してみてほしい。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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