大砲に対する攻撃に使われている兵器
敵の大砲を撃破するには3段階のプロセスを踏むことになる。まず、大砲の位置を突き止める必要がある。そのためのデータは、人工衛星をはじめとする外国の情報収集源、米国が供与している対砲兵レーダー、あるいは広く使われている監視ドローンから提供される。対砲兵レーダーは、砲弾の弾道解析から発射地点を特定するものだ。次に、その位置データが指揮統制システムに送られ、指揮官は目標の大砲を移動前の短い時間に攻撃するための兵器を割り当てる。最後に、前線からかなり後方にあるその目標を狙える兵器で攻撃することになる。ウクライナ軍はしばらく前から最初の2つのプロセスはできていたが、最後の長距離攻撃能力が不足していた。だが、ここへきてそれが改善した可能性がある。たしかにウクライナ軍は米国製の高機動ロケット砲システム(HIMARS)を保有しているが、ここではそのことではない。HIMARSはまだ数が少ない。
FPV(一人称視点)ドローンを飛ばせる範囲は通常、最大でも20km程度だ。以前は、ロシア軍の大半の砲兵はこの射程圏外にとどまることができた。しかし最近、ロシア軍の砲兵部隊は以前よりも口径の小さい大砲、具体的に言えば152mmでなく122mmの口径の大砲を使うようになっている。これらの大砲は射程が短くなるため、より前線に近づく必要がある。その結果、砲兵はFPVドローンによる攻撃を非常に受けやすくなっている。
06.06.2024
Destroyed 🇷🇺122MM 2S1 Gvozdika SPH"◇" "X" somewhere in Shebekino district, Belgorod region, Russia
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Sneaky Ukrainian FPV drone attacks Russian2S19 Msta-S 152.4 mm self-propelled howitzer from behind https://t.co/YdYP6ZnvcJ pic.twitter.com/P0DtvGndYX
— Special Kherson Cat 🐈🇺🇦 (@bayraktar_1love) May 31, 2024
英国防省は昨年、「ロシアはランセットを優先目標に対する攻撃に用いており、敵の砲兵を攻撃する重要な対砲兵戦での使用が目立ってきている」と指摘している。
ロシアのランセットは少数しか使われていないため、影響もこれまで限定的だ。もしウクライナが同等の兵器を1000機単位で生産できるようになっているとすれば、ウクライナ軍はロシア軍の大砲を発見し、位置を特定し次第、すぐに撃破できるのかもしれない。