ロシア軍はアウジーウカを占領した今年4月半ばに、ノボミハイリウカも占領した。ロシア軍が出した損害は、数字の単純な比較ならもちろんアウジーウカのほうが大きいが、戦闘の規模を考慮に入れるとノボミハイリウカでの損害は同じくらい激しいものだった。
推定にはばらつきもあるが、ロシア軍はアウジーウカ攻略戦で人員を4万人超、車両を1000両超失った可能性がある。4万人超のうち、約3分の1が死亡し、約3分の2が負傷したと考えられる。
ウクライナ軍のドローン(無人機)操縦士、コールサイン「Kriegsforscher(クリークスフォルシャー)」によれば、ロシア軍はノボミハイリウカ方面でも車両をおよそ300両失ったという。アウジーウカでの損害から類推すれば、死傷者も1万3000人程度にのぼったのかもしれない。
アウジーウカでもノボミハイリウカでも、ウクライナ側の人的・物的損害ははるかに少ない。
昨年10月上旬、ロシア軍の3個野戦軍、全体で数十個の旅団や連隊がアウジーウカに対する攻撃を始めたとき、「わたしたちの関心はもっぱらそこにありました」とKriegsforscherは振り返っている。「しかし、もうひとつ大きな戦いがありました」。それがノボミハイリウカ攻防戦だった。
ロシア側の攻撃部隊は、繰り返し壊滅的な損害を受けている不運な第155独立親衛海軍歩兵旅団を含む計7個の旅団と連隊だった。それを、ウクライナ側の2個旅団を主力とする守備隊が迎え撃った。