欧州

2024.03.21 10:00

ウクライナが軍用地上ロボットを量産、戦場のゲームチェンジャーになるか

ウクライナの「ロボット軍」

ウクライナのドローンに関する取り組みを主導するミハイロ・フェドロウ副首相デジタル移行相は1月、ブレイブ1から生まれた多用途ロボット「D-21-11」を発表した。D-21-11は4輪の付いた頑丈な車台に、機関銃を搭載した砲塔を備えた車両で、偵察や防御、攻撃などの作戦に使用できると紹介されている。砲塔を取り外せば運搬車両としても使えるという。

昨年10月に披露された別の車輪付きロボット「ラテルS」は、対戦車地雷の敷設や自爆攻撃に使用可能だ。静かな電気モーター式のラテルSは最高時速24km、航続距離6km、最大積載量35kgとされ、すでに実戦に投入されて成功を収めている。昨年10月には少なくとも50両が使われたと伝えられる。

より大型の「ラテルM」は最大積載量250kgの運搬用の車両で、こちらもすでに前線の陣地への物資補給に使われている。ソーシャルメディアの動画によれば、負傷者などの搬送用途でも試験が行われているらしい。

ウクライナのすべての軍用地上ロボットが伝統的な意味でのロボットというわけではない。ユナイテッド24の発表にある装備の1つは、遠隔操作式の機関銃だ。ウクライナでは似たような装備が以前に少なくとも2つ知られていた。ゲーム機のコントローラーで操作する様子が昨年5月に動画で紹介された「サーベル(ウクライナ語ではシャブリャ)」と、昨年11月に実戦での使用が報じられた「タランチュラ(同タラントゥル)」である。ユナイテッド24が投稿した写真に見える最新版には、機関銃を保護する装甲板のようなものや、コンパクトで調整可能な折りたたみ式の脚などが付いており、以前のものから大幅にアップグレードされているもようだ。

遠隔操作する機関銃の商用製品にはイスラエル製の「スマッシュ・ホッパー」があるが、ユナイテッド24のプロジェクトで重要なのは、低コストで国産のソリューションを開発するという点だ。ちなみにウクライナでは2021年、遠隔操作のアサルトライフルを用いた政治家の暗殺未遂事件が起きており、遠隔操作式の銃器というアイデアは過去に実例もあったということになる。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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