欧州

2024.03.15

ロシア軍、ドローンと大砲の連携高める 今度はウクライナのヘリを破壊

2021年8月、ウクライナのキーウ上空を飛ぶミルMi-8ヘリコプター(Elfangor / Shutterstock.com)

ウクライナ軍第12独立陸軍航空旅団のミルMi-8かミルMi-17とみられる強襲ヘリコプター3機が、13日かそれより前、東部ドネツク州アウジーウカ郊外の前線から55kmほど離れたノボパウリウカ村の平原に一時、駐機していた。

これらのヘリコプターは、ベルディチ、オルリウカ、トネニケの各村を通る新たな防衛線を保持しているウクライナ軍部隊を支援するため、白昼の攻撃に向けてロケット弾などを再装填していたようだ。

3機の搭乗員(各機少なくとも操縦士と副操縦士の2人)も、おそらくそれほど長く地上にとどまるつもりはなかっただろう。だが、ドローンや大砲を組み合わせた、ロシア軍の改良されたキルチェーン(目標の探知から撃破までの一連の措置)が設計どおりに機能するには、十分長い滞在時間だった。

第12旅団のヘリコプターの上空でクラスター弾が炸裂し、少なくとも2機が損傷した。搭乗員のうち、少なくとも2人の戦死が伝えられている。ヘリコプターの1機はなんとか飛び立って退避したが、残り2機は爆薬を積んだドローンの直撃を受けて破壊された。

この攻撃によって、ロシア軍によるウクライナ軍装備の衝撃的な連続撃破がさらに続いたことになる。ロシア軍はわずか1週間かそこらの間に、ウクライナ軍の高機動ロケット砲システム(HIMARS)パトリオット地対空ミサイルシステムの発射機を相次いで初めて撃破し、さらに今回、ヘリ2機を撃破した。

前線から遠く離れた場所でドローンによって目標を見つけ、その目標が移動する前に大砲などで仕留めるロシア軍のキルチェーンが、ここへきて急速に向上しているのはもはや明らかだ。

たしかに、ロシア軍は25カ月前にウクライナに全面侵攻した時点で、「ストレレッツ」と呼ばれるデータネットワークなどに基づく迅速なキルチェーンを用意していた。これは、監視ドローンなどの偵察装備で集める目標に関するデータと、大砲などの射撃統制システムを連携させるものである。

ところが実際は、ストレレッツなどのロシア軍の目標捕捉ネットワークが設計どおりに機能することはめったになかった。それは主に人為的な理由からだった。簡単に言えば、ロシア軍の上級指揮官は、下級指揮官に任せて、新しく、刻々と変わる情報に基づいて砲射撃させようとしなかったからだ。

「ロシア軍のカルチャーでは、命令を実行する者に判断のための背景情報を与えることが忌避される」。英王立防衛安全保障研究所(RUSI)の2022年の報告書で、著者のミハイロ・ザブロツキー、ジャック・ワトリング、オレクサンドル・ダニリュク、ニック・レイノルズはそう指摘している。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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