自由ロシア軍団、ロシア義勇軍団、シベリア大隊は12日ごろ、ロシア南西部のクルスク、ベルゴロド両州に越境攻撃を仕掛けた。
自由ロシア軍団はクルスク州の国境の町チョトキノへ越境した際、地雷でT-64戦車1両を失ったものの、町からロシアの警察や準軍事組織を駆逐することに成功した。
また、ベルゴロド州では3部隊の共同作戦でコジンカ村を占拠。地元当局は住民に退避勧告を出すことを余儀なくされた。
一連の越境攻撃は、ポーランド東方研究センター(OSW)のシニアフェロー、ピョートル・ジョホフスキーが昨年、ウクライナ側の仕掛ける「破壊・心理戦」と指摘した作戦の特徴と合致する。ロシア人部隊は、ロシアがウクライナに全面侵攻した2年あまり前からウクライナで活動している。
越境作戦の目的は土地の占領ではない。むしろ、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に恥をかかせ、権威を失墜させるのが狙いだ。今回の侵攻のタイミングが、15〜17日に実施された「いかさま」のロシア大統領選と重なったのは偶然ではない。
ジョホフスキーはロシア人部隊の以前の越境攻撃について「軍事的な重要性はあまりないにせよ、ロシア国境守備兵の弱さ、なかんずく、こうした事態に即応する能力が限られていることを露呈させた」とコメントしている。
ロシア軍の主力部隊は、ウクライナ東部と南部での攻勢を維持するため薄く引き延ばされた状態になっており、その攻勢も現在はおおむね頓挫している。そのためロシア側は、クルスク州やベルゴロド州に大部隊、つまり連隊や旅団を丸ごと移転させての対応には積極的でない。