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2021.03.25 10:30

日本において曖昧な「ラグジュアリー」を世界基準で語るなら

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日本において、「ラグジュアリー」は従来どのような領域で語られてきたのでしょうか。ラグジュアリーが多様化するなか、「新しいラグジュアリーの論理」を形成していくにあたり、まずは現状を整理してみたいと思います。

学問からファッション、パーソナルなものまで、大きくわけると、以下5つに分類することができます。

 1. 経済部門として経営の言葉で語られるラグジュアリー部門
 2. マーケティングの言葉で語られるラグジュアリー・マネージメントや戦略
 3. ラグジュアリーメディアが扱う、高価なファッションを含むライフスタイル
 4. 人文学の言葉で語られる、社会構造との関係におけるラグジュアリー
 5. マイラグジュアリー

とはいえ、上記の5つは完全に分離しているわけでもなく、どこかでつながりながら、漠然と「ラグジュアリーのイメージ」を醸し出してきました。よって日本におけるラグジュアリーとは、多義的で、輪郭が明瞭ではなく、議論の余白があるイメージです。

「3. ラグジュアリーメディア」に関しては、私も長年、記事の書き手として関わっておりますが、これはこれで「ラグジュアリー・コミュニティ」と呼ばれるコミュニティのルールに支配された興味深い世界です。ここでの支配者は太い広告主でもある5大ファッションブランド、すなわち、シャネル、ルイ・ヴィトン、グッチ、ディオール、プラダ。およびそれに続くハイブランド群です。


Photo by Dan Kitwood/Getty Images

例えば、雑誌の同じページに競合ブランドを載せてはいけない、ブランド間の序列に従ってブランド名を「右、上」の順序にもってこなければならない、などいくつかの暗黙のルールを知り、リテラシーを高めておくと、雑誌の読み方が変わります。時計、車部門でも、それぞれに序列があると聞いています。

最近では事情がいくらか変わってきたとはいえ、秩序のある世界が保たれることでブランドは自らが望むイメージを正しく伝えることができ、メディア側も広告を出してもらうことによりビジネスとして持続可能になる。それがよくないと言っているわけではなく、そのようなビジネスモデルであるということですね。

ちなみに、ここで言及しているルールは、しばしば「本国の指示」に沿った日本独自のルールであることが多いです。海外のラグジュアリーメディアを見ていると、むしろ日本ルールが特異であるように見えてきます。
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文=中野香織(前半)、安西洋之(後半)

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