日本発NFTの勝機は「ゲーム」にあり コンテンツ覇者の復権なるか

急速に盛り上がりを見せるNFT どんな可能性を秘めているだろうか(Shutterstock)

デジタルデータでつくられたコンテンツが、コピーすることができない「モノ化」し、価値ある個人財産になる。そんな世の中が、ブロックチェーン技術で着々と実現しようとしている。

3月17日、「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエストシリーズ」で知られるゲーム大手のスクウェア・エニックス(代表取締役社長:松田洋祐)が、ブロックチェーンアプリケーション開発企業doublejump.tokyo(ダブルジャンプトーキョー、代表取締役:上野広伸)と協業を発表。ブロックチェーン技術を活用した、NFTコンテンツの開発を始めると発表した。

近年、米国などを中心に音楽やアート、エンターテインメント業界で急速に盛り上がりをみせているNFTだが、日本では一般的にまだ馴染のないキーワードではないだろうか。

業界トップの知見を持つdoublejump.tokyoの上野代表と、ビジネスアライアンス担当・松原亮に、日本発のNFTの可能性について聞いた。

「NFT」そもそもの始まりは?


NFTとは「Non Fungible Token」の略語で、「コピーや複製ができないデジタル資産(トークン)」や、各デジタル資産の所有者が誰であるかを明示する「デジタル認証およびその技術的手法」の総称である。

これまでデジタルデータは簡単にコピーができてしまうことから、資産として価値を技術的に保全することが難しかった。しかし、改ざんがほぼ不可能とされるブロックチェーン上に、購入者もしくは製作者情報などを記録するNFTには「非代替性」が付与される。言い換えれば、デジタルデータであってもモノのように価値を保全したり、また場合によってはプレミアにより価値が高まるという新たな仕組みを実現することができるようになる。

NFTは特にゲーム業界において日進月歩の発展を遂げている。デジタルアイテムやキャラクター、知的財産(IP)を「唯一無二化」、もしくは数量限定などにすることで、各ゲームの枠を飛び越えて価値を保存・交換するというような横断的な仕組みを実現し、市場を拡大できる可能性を多分に秘めているからだ。

実際、2017年末頃に登場した仮想通貨(イーサリアム)でバーチャル猫を買って育てるブロックチェーンゲーム「クリプトキティズ」では、約2000万円(2018年9月当時)でNFT(バーチャル猫)の売買が成立し話題になった。クリプトキティズを運営するDapper Labsは、他にも「NBA Top Shot」などNFTを使った人気サービスを展開しており、企業評価額は20億ドルを突破している。
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文=河 鐘基(ハ・ジョンギ)Forbes JAPANオフィシャルコラムニスト

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