感謝の気持ちを育む方法
感謝という概念について最も一般的な誤解は、ただ「ありがとう」と伝えるだけのものと考えられていることだ。実際には、感謝の気持ちはそれよりもはるかに大きな意味をもち、強力だ。真の感謝の気持ちとは、何の変哲もないように思えるときでも、相手や相手との関係の価値を十分に認めることを意味する。
夫婦は無意識のうちに互いの言動を「当然」のこととみなしがちだ。長く一緒にいると特にそうだろう。目につく行動には感謝の気持ちがはっきりと示されるかもしれないが、結婚生活を支える小さな思いやりの行動は認識されないかもしれない。
起床後に何も聞かずに用意してくれるコーヒーや、仕事後の「今日はどうだった?」「もっと聞かせて」という声かけ、送ってくれる面白いミーム。また、あなたのために瓶のふたを開けてくれたり、お弁当の用意をしてくれたり、あるいはあなたがひとりの時間をもてるよう子どもたちと一緒に出かけてくれたりーー。こうした「些細なこと」が何よりも大事だと私たちはよく口にするが、実際にはそれを忘れてしまいがちだ。
こうしたささやかな愛情表現に気づいて認識するよう互いに努めることは、関係の維持に大いに役立つ。 まずは次のようなことから始めるといい。
・言葉で伝えるのではなく、行動で示す:ありきたりの「ありがとう」はやめる。心からの感謝には具体性が必要だ。例えば「今朝、私のためにコーヒーを入れてくれてありがとう。おかげでいい一日のスタートが切れた」とか「今夜、あなたが子どもたちに辛抱強く接してくれていたのが、とてもうれしかった。簡単ではなかったはずなのに」など。
・感謝の儀式を始める:就寝前や夕食時に、感謝していることをお互いにひとつずつ伝えることがとても役立つと考えるカップルもいる。 必ずしも大きなことである必要はない。時には些細なことに対する感謝が、重要だったりする。
・常に良い面を見る:物事が完璧ではないとき(完璧なことなどほとんどない)は、感謝の気持ちをもつことで見方が変わる。 パートナーがしなかったことにこだわるのではなく、パートナーがしたことを探して認識する。
そして最も重要なのは、感謝の気持ちはパートナーだけではなく自分自身にも向けられるべきということだ。 あなたが結婚生活に持ち込んでいるもの、例えばあなたの優しさやユーモアのセンス、あるいは物事を滞りなく進める能力などについて、ほんの少し時間をさいて認めよう。 孤独感は、配偶者が何かをしているか、あるいはしていないかというよりも、むしろ自分の価値を認めないことによって生じる場合もある。