相手と自分のために許しを
感謝の気持ちと同様、許しという行為もよく誤解されている。許すことは、必ずしも忘れることではない。過去のトラブルを心にしまい込み、まるで何もなかったかのように振る舞うことは、許すことではない。むしろ憤りを手放すこと、つまりあなた自身や夫婦関係の重荷にならないように、憤りを解消することだ。こうすることで、感謝の気持ちと同様、双方が恩恵を受ける。
夫婦生活で、許しを正しく実践する方法を紹介しよう。
・「疑わしきは罰せず」の精神を常に持つ:相手の過ちを無関心の証拠ととらえるのではなく、理解しようとする姿勢をもとう。もしかしたら、相手は何かに参ってしまっていたのかもしれないし、気が散っていたのかもしれない。あるいは自分の行動があなたにどんな影響を与えるか気づいていなかったのかもしれない。だからといって相手がとった傷つける行動が許されるわけではないが、前進しやすくなることは確かだ。
・些細なことはまず許す:不愉快な出来事でいちいち口論する必要はない。パートナーがゴミ出しを忘れていたり、靴下を床に脱ぎっぱなしにしていたり、あるいは疲れて帰宅してあなたに当たり散らしたりしたとしても、こう自問してほしい。「根にもつだけのことなのか、それとも気にしなくていいことなのか」。ほとんどの場合、忘れていいことだ。怒りや恨みを抱き続けることは、まさに選択なのだ。
・行動で示す:時には言葉で伝えるよりも、積極的に許しを行動で示す方が効果的な場合もある。憤っているのではなく、許しているということを相手に示すには、安心感を与える触れ合いや思いやりのあるしぐさ、あるいは過ちを蒸し返さずに過去のものにすることが一番だ。
感謝の気持ちと同様、許すことはパートナーのためだけにあるのではない。あなたが他人に惜しみなく与える許しは、あなた自身にも向けられて然るべきものだ。私たちは往々にして、自分に極めて高いハードルを課し、失敗する度に自分を責める。だが配偶者と同じようにあなたも人間だ。自分自身や配偶者についての理想を高くもつと、理想に辿りつかず孤独を感じることになる。
孤独感を放置しておくと、すぐに結婚生活も揺らぎ始める。そこから抜け出す唯一の方法は、ふたりの関係を遠ざけるものではなく近づけるものに目を向けることだ。良い面に目を向ければ向けるほど、孤独感は薄れていく。そして最終的には夫婦関係を疎遠なものから、心から満たされるものへと変えていく。