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2025.03.31 17:00

AIを活用して「効率化と高度化」 実例:Hakuhodo DY ONEのトヨタ・アクア広告展開

トヨタのハイブリッドカー「AQUA」の、2024年夏から実施するデジタルマーケティングの展開をHakuhodo DY ONEが支援している

トヨタのハイブリッドカー「AQUA」の、2024年夏から実施するデジタルマーケティングの展開をHakuhodo DY ONEが支援している

広告会社大手の博報堂DYグループによるデジタルマーケティング領域を対応するHakuhodo DY ONEは、Google、Meta、Yahoo!、LINEなど主要なデジタル広告プラットフォームにおけるメディア戦略とクリエイティブ制作を通じてクライアントの事業を支援している。デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)とアイレップ(IREP)というデジタルマーケティングのエキスパート企業の合併により2024年4月に創立された。

クリエイティブディビジョンの責任者である石井智之氏に、近年の主流になりつつあるAIツールを使ったデジタルマーケティングの最新事情を聞いた。

株式会社Hakuhodo DY ONE第3クリエイティブ本部本部長の石井智之氏にインタビューした
株式会社Hakuhodo DY ONE第3クリエイティブ本部本部長の石井智之氏にインタビューした

デジタルマーケティング市場に押し寄せる変化の波

近年のデジタルマーケティング市場は急速に変化している。背景には通信回線の高速化と安定化にともない動画広告市場が拡大したことと、縦型フォーマットへの注目度が高まっていることが主な要因に挙げられる。

石井氏によると、特にGoogleとMetaは早くからフォーマットの多様化を推進してきたという。両社はAIを活用する広告ツールの導入にも積極的だ。

AIの精度は、多くのデータを学習させることによって向上する。GoogleやMetaのようなメガプラットフォーマーが提供するAIツールも同様だ。より多くのクリエイティブ素材を学習させることが、正確な広告効果の測定につながる。あらかじめ多様なクリエイティブ素材を揃えて、静止画やビデオなど多様なフォーマットを出し分けて配信することでコンシューマーの反応を適格に掴み、出稿主であるクライアントに大きな成果がもたらせる。

石井氏は「特に縦型広告が重要視されている」と話す。TikTokが登場して以来、縦型動画フォーマットが若年層に向けた情報伝達の手段として定着した。Metaの効果測定でも縦型広告素材が良い実績を残しているという。

現在、スマホなどで表示する縦型広告が重要視されるようになっている
現在、スマホなどで表示する縦型広告が重要視されるようになっている

Yahoo!による効果測定に目を向けると、静止画バナーと動画に対するユーザーの反応に「重複が少ない」こともわかったという。つまり動画広告を打つことで、より多くのユーザーにリーチできる可能性が高まるというわけだ。

米国ではデジタルプラットフォームに動画・静止画を織り交ぜ、フォーマットを網羅した多様な広告素材を投入した後に、AIが最適なターゲットユーザーを見つけてPDCAサイクルを回す手法がすでに主流になったという。石井氏は「以前であれば広告会社がターゲットを絞り、人が戦略を立てて配信を運用していた。現在ではプラットフォームが搭載するAIに任せた方が期待する成果が出せる」とし、海外ではトレンドの変革期を迎えたことを強調している。

しかしながら日本の企業ではその認識がまだ低く、広告制作に投資するマインドが低い現状があると石井氏は続ける。競合他社との競争を勝ち抜くため、AIツールを採り入れたデジタルプラットフォームの特性を活かすことが求められている。

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編集=安井克至

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