目を閉じ、世界が何も変わらないふりをしてみよう。すると2030年までには、あなたの職場は見分けがつかない程変わっており、その変化の輪の中にいたかったと思うことだろう。世界経済フォーラム(WEF)は、2025年版『Future of Jobs Report』の中で、2030年には約9200万人(全雇用の約8%に相当)の仕事が完全に時代遅れになると予測している。
McKinsey Global Instituteのシンクタンクも暗い見通しを描いている。AIと自動化の影響で、今後5年以内に米国とヨーロッパで最大1200万人分の仕事が奪われる可能性があり、何百万もの人がキャリアパスの転換を迫られるという。
わずか5年の間にこれほど多くのことが変わってしまうことを考えると恐ろしくなるが、明るい面を見れば、こうした雇用の喪失は、私たちがまだ聞いたこともないような新しい仕事や職種の創出によって相殺される。
実際、WEFは2030年までに1億7000万人の新規雇用が発生すると予測しており、これは現在の雇用総数の約14%に相当する。こうした新たな仕事の増加は、経済の変化、市場のシフト、クリーンエネルギーへの注力、AIや技術の進歩によって引き起こされる。そして、そうした背景のなか、新たなスキルセットへの需要が高まり、私たちが夢にも思わなかった新たな機会が創出されている。
結局のところ、誰がChief AI Officer(最高AI責任者)という肩書が生まれるなどと予想できただろうか?
そして今、私たちの関心は主に2つの核心的な問題に向けられている。 2030年までにどのような仕事がなくなる、あるいは廃れつつあるのか。そして、雇用市場の変化に打ち勝ち、その変化した未来において不可欠な存在になるために、あなたはどんな備えができるのだろうか。
マッキンゼーの調査では、今後数年間で最も淘汰されやすい職種は、その特徴として、非常に予測可能であること、そして反復的であることだと指摘している。さらに、データの収集と処理は、「機械によってより良く、より速くできるようになりつつある2つのカテゴリーの活動」である。例えば、住宅ローンの組成、パラリーガル(法律事務職)、経理、バックオフィスなどがその典型だ。