中国製の全地形対応車(ATV、俗称「ゴルフカート」)。ベラルーシ製のオートバイ。ロシアの大衆車ブランド「ラーダ」のコンパクトカー。ソ連時代にさかのぼる軍民両用のバン「ブハンカ」。博物館に収蔵されていてもおかしくないほど古いGAZ-69ライトトラック。少なくとも1両の機関車。ロシアで繁盛しているスクーターレンタル業界の余剰電動スクーター。ロシアで装甲戦闘車両(AFV)の在庫が払底してくるにつれて、ロシア軍の連隊や旅団は兵士の輸送を民生用や民生寄りの車両に頼るようになっている。
このほど、ロシア軍の民生品転用車に新たに加わった車両は、これまでで最も滑稽なものかもしれない。スクールバスだ。ロシア軍は民生車両を転用する場合、ドローン(無人機)対策のケージなどで防護を強化することが多いが、このバスにはそれすらなかった。
4月27日かその少し前、ウクライナ軍のドローン操縦士は、東部の主要な戦闘地域であるドネツク州の前線近くに、黄色いスクールバスが停車しているところを見つけた。
バスは故障したのかもしれない。あるいは、春の訪れとともに地盤が緩んだ未舗装路を走行中、足を取られたのかもしれない。いずれにせよ、ウクライナ軍のFPV(一人称視点)自爆ドローン少なくとも1機の直撃を食らい、その場で炎上する結果になった。
Russians are using old Soviet buses for assaults—looks like they’ve run out of armored vehicles. The video shows Ukrainian drones taking out an already battered "assault bus." pic.twitter.com/jwd8TWXLRl
— WarTranslated (@wartranslated) April 27, 2025
戦場の輸送手段として、バスは理想的なものとは言えない。アナリストのヤクブ・ヤノフスキーは「民生車両は徒歩よりはましだが、見てわかるように防護も(車両搭載の銃砲による)火力支援も期待できない」と説明する。「したがって、適切なAFVでなくバスを使った突撃は損害が大きくなり、失敗する可能性も高くなる。塹壕や鉄条網、その他の対歩兵障害物も越えられそうにない」
戦場に増える民生車両
とはいえ、ロシア軍に選択の余地は乏しい。ロシアがウクライナに対する戦争を拡大してから3年2カ月あまりの間に、ロシア軍は装甲戦闘車両だけで累計1万3000両近く失っている。この数は多くの軍隊の全車両数を上回り、国際的な制裁で圧迫されているロシア産業界が3年間に生産できる車両数よりも多い。ロシアでの戦車と歩兵戦闘車(IFV)の新規生産数は現状、年間1100両くらいかもしれない。



