いま以上に多くの仕事をこなそうとするとき、いっそう努力することが早道というわけではない。むしろ、自分を思いやりながら、「タイムボクシング」(説明は後述)のような明確な手法を用い、ペースを落として賢く働く方が効果的だ。
タスク管理ツール「Sunsama(サンサマ)」が発表した2024年版リポート「2024 State of Modern Work and Well-being Report」で、プロフェッショナルの時間管理法が明らかに変化していることがわかった。労働者の90%は、程度の差こそあれ柔軟なスケジュールで仕事をしており、もはや出退勤時にタイムカードを押すような働き方をしていない。重要なのは、集中力とエネルギーをどう操って、注意散漫にならないようにするかだ。そのためには、意志の力だけでなく戦略も必要となってくる。
データが語ること
・生産性のピークは早い時間に訪れる:生産性が1日のなかでピークに達するのは、朝一番か昼前だと答えた人は69%だった。これは、生産性専門家の多くがかねてから示唆してきた考えと合致する。つまり、人間の脳が最も覚醒しているのは昼前なのだ
・タイムボクシングの時代が到来:「タイムブロッキングかタイムボクシングで集中力を維持している」と答えた人は71.6%だった。また、「ポモドーロテクニック(集中と休憩を繰り返すことで、生産性を上げる時間管理術)を使っている」人は38.2%だった。こうした計画的な時間の使い方は、リポートで挙げられた上位2つの課題(注意散漫になることと、物事を先延ばしにすること)を克服するのに役に立つ
・燃え尽きる人が多い:仕事関連でストレスを感じることが「頻繁に」あるいは「非常に頻繁に」あると答えた調査回答者は、半数を超えていた。ストレスを感じることは「めったにない」と答えた人は12%にすぎない
キャリアコーチである私から見ると、こうしたデータは赤信号でもあり、明るい兆しでもある。ストレスを感じている人が多いのは事実だが、ストレスを克服する術が存在するのもまた事実なのだ。