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2025.04.16 10:00

30歳に近づくZ世代、企業に「パーパス」を求め働き方を再定義する世代に変貌

olaser / Getty Images

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1997年から2012年ごろに生まれたZ世代が、労働力における支配的な地位を確立した。Z世代の最年長は30歳に近づいており、もはや新入りではない。Z世代は大きな力となり、仕事のやり方を変えようとしている。

米国の労働人口のうちZ世代が占める割合は、ベビーブーマー世代を超えた。2024年第2四半期の時点で、Z世代は米国労働人口の18%を占めていた(ベビーブーマー世代は15%だった)。ベビーブーマー世代は着実に引退し続けており、労働力における存在感が小さくなっているため、これは世代交代を意味する。Zurich Insurance(チューリッヒ保険)が発表した2025年の予測によれば、Z世代は年末までに世界の労働力の27%に達する。この数字は、世界経済フォーラムの予測と一致する

企業に「パーパス」を求め、それを重要視するZ世代

Z世代の新しい働き方は、一時的なトレンドではなく、職場における大きな変化だ。Z世代は、何よりも「パーパス」(存在意義や社会的意義)を重視しており、こうした姿勢を仕事に持ち込んでいる。Z世代の目的は、ほかの世代とは異なる。Z世代は上の世代と異なり、給与以上のものを求めている。

「2024年 デロイトZ・ミレニアル世代年次調査」(44か国約2万3000名を対象に調査)によれば、Z世代の86%が「仕事に対する満足感を得るにはパーパスが重要だ」と回答しており、44%が「自分の倫理観に合わない雇用主を拒否する」と述べている。

Z世代は、人種的な公正からメンタルヘルスの擁護まで、自分たちの理想が反映された行動をとる雇用主を求める傾向にある。米国のシンクタンクPew Research Center(ピュー・リサーチ・センター)による2023年の調査では、Z世代の70%は、たとえ給与が下がることになっても、倫理観のしっかりした組織で働くことを優先している。これは、1983年~1994年生まれのミレニアル世代(58%)、1965年から1970年代生まれのX世代(47%)とは対照的だ。Z世代は単なる従業員ではない。Z世代は、自分は文化的使命の担い手だという自覚を持っている。

Z世代のニーズを満たされなければ、同じ職場にとどまる可能性は低い

しかし、こうした考え方は離職率を高める。デロイトによる2022年の調査(46か国約2万3000名を対象に調査)では、Z世代の49%が「企業価値やワークライフバランスに不満があれば、2年以内に退職する」と回答している。ミレニアル世代は41%だった。

Z世代は、上の世代と異なり、柔軟性や成長、価値観の一致に関するニーズが満たされなければ、同じ職場にとどまる可能性は低くなる。そのため、部下がもっと長く在籍することに慣れてきた管理職は頭を抱えている。

職場では、Z世代の声が届き始めているようだ。Gallup(ギャラップ)の2024年版「世界の職場の現状」リポートによれば、かつてZ世代のスローガンだったハイブリッドワークは今や、ベビーブーマー世代の45%、X世代の52%に受け入れられている。2022年には、それぞれ30%と38%だった。

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翻訳=米井香織/ガリレオ

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