では、若手社員が昇進を嫌う理由は何だろうか。
米コンサル会社DDIの応用行動研究センター(CABER)でディレクターを務めるステファニー・ニールは、「ここ数年、組織やチームの統率は著しく難しくなっており、そうした役割の多くは労働者の目に魅力的には映らなくなっている」と話す。「不確実な経済状況や社内政治での対立の激化、ハイブリッドチームやリモートチームの管理、より少ないリソースでより多くのことをこなすことなど、率いる立場にある人たちはプレッシャーの高まりに直面している。その一方で、上層部からの支援は限定的であることが多い」
ニールによると、「統率する役割を担う人たちは参っており、ずっと続けるのは不可能だと感じている」という。
会社に入ってそうした状況を目の当たりにしているZ世代は、他山の石としている。仕事より私生活や趣味の方が大事という考え方も相まって、Z世代がリーダーの役割に魅力を感じないのも無理はない。
「Z世代の多くは、管理職はストレスの多いキャリアパスとみており、目的に欠け、責任や給与増に見合うものではないと考えるようになっている」とニールは語る。「その代わりに、負担を増やすことなく自分の仕事だけに集中できる職務を選んでいる」とも指摘する。
Z世代の計算では、リーダーになるというのは割に合わないのだ。