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2025.01.31 09:30

Z世代にとってリーダーの役割が「魅力的でない」3つの理由

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リーダーの役割が魅力的でない3つの理由

Z世代が会社での昇進に幻滅しているのには主に3つの理由がある。

若いリーダーはストレスを多く抱えている

「35歳以下のリーダーの70%以上がバーンアウト(燃え尽き症候群)の症状を感じているなど、バーンアウトは若いリーダーの間で特に顕著だ」とニールは言う。若者はすでに平均を上回る不安や精神衛生上の問題を抱えており、これ以上問題を抱えたいはずがない。

余計な仕事は割に合わない

Z世代は、キャリアアップを目指す際に高い給与よりもワークライフバランスを重視する。「Z世代の労働者は、仕事量を対処できる範囲内におさえ、会議を必要なものだけにし、時間外の連絡を控えるよう呼びかけるなどして仕事とプライベートの境界線を尊重することを組織に望んでいる」とニールは言う。管理職を守るためのこのような策が取られていないと判断すると、多くのZ世代はプライベートの時間を増やすためにリーダーの役割を拒むだろう」とニールは指摘する。

リーダーシップスキルがないと感じることが多い

「Z世代は対立するようなシーンで場をうまく収めるといった能力が劣っていると感じていることが多く、高い能力を持っているのは管理職候補の12%にとどまる」とニールは言う。「特に、初めて管理職になる人は、平社員からチームを率いる立場になるときにさらなる難題に直面することが多く、適切な支援や指導を受けられないとうまくいかないことがある」

リーダー不在の代償

私は以前、今後待ち受けているリーダー不足について記事を書いた。DDIの調査によると、リーダー候補の人材が充実していると回答した企業はわずか12%だ。

ニールは「管理職になる準備が整った若手リーダーが少ないため、企業はリーダーシップの空白が長期化するリスクを抱えている」と指摘。「その結果、実行力やチームの結束力、部門にまたがる協力、そしてもちろん最終的な業績にも空白が生じる。加えて、空いている管理職のポストを早く埋めなければならないというプレッシャーが時期尚早の昇進や時間とリソースの浪費、経営陣の失敗の増加につながる可能性もある」

ニールは、グラスドアのレポート『ワークライフトレンド2025』で従業員の65%が現在の職に行き詰まりを感じているという点に言及し、「成長の機会や意義のある仕事を重視するZ世代にとって、このような仕事に対する意欲の消失は、いわゆる『静かな退職』や生産性の低下につながることが多い」と指摘する。「長期的には、期待が満たされないことで離職率や自然減率の上昇につながる」ともみる。

「ポテンシャルの高いZ世代は特に、柔軟性やキャリアアップ、評価など、自分の価値観に合った組織での職を求める傾向が強い。そのため、重要なリーダー職の人材を確保する取り組みが不十分な組織は最悪な状況に陥る」とニールは言う。

たとえ従業員がすぐに辞めるつもりがなくても、対策を講じていない組織はイメージが落ち、将来人材を引きつけて維持することがさらに難しくなる恐れがあるとニールは考えている。「逆に、コーチングやキャリアアップ、後継者育成に注力している組織は、こうした難しい状況を粘り強く意欲的な人材を育てるチャンスに変えることができる」とニールは言う。
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翻訳=溝口慈子

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