新卒または第二新卒で企業への就職を目指す20代の若者たちは、入社後にどんな指導を望んでいるのか。年配上司の成功体験はひとまず脇に置いて考える時期が来たようだ。
ジェイックが運営する就職支援サービス「ジェイック 就職カレッジ」は、同サービスに登録している20代の求職者145人を対象に「上司に求める指導タイプ」に関する調査を行った。それによると、課題の解決方法をいっしょに考えて具体的なアドバイスを提供する「伴走型」と、業務の進め方や具体的な手順を細かく指導する「教示型」を望む人がそれぞれ4割強、あわせてほぼ9割となった。

それに対して、自主性を重んじて仕事を任せる「委任型」と、行動を示して見て学ばせる「模範型」はそれぞれ1割に満たない。
メンタリングやオンボーディングの制度がなかった時代、またはそうした制度が整っていない企業では、新人指導は企業文化や上司の個人的な方針に依存することが多いだろう。日々の業務に翻弄される中で新人の面倒など見ていられない、ひとりで頑張れと言いたい状況かもしれない。そうした環境で育ってきた今の上司たちからすると、新人は「世話が焼ける」と感じるかもしれない。実際、今の30代から50代の上司には委任型や模範型で育ってきた人たちが多く、マネジメントに苦労しているとジェイックは話す。

また、入社後の1年間に会社に実施してほしいサポートを尋ねると、もっとも多かったのが同じ部署の先輩に相談できる場の提供だった。それに続いて、上司に定期的に相談できる場の提供も多く、全体に「相談」の窓口を求めている。
忙しい、教える方法を知らない、といった都合もあるだろう。帝国ホテルの料理長を26年間務めたムッシュ村上こと村上信夫氏は、「見て覚えろ」的な職人気質の世界だった日本の料理界を、丁寧に指導する方針で改革し飛躍的に発展させた話は有名だ。苦労を重ねてきた上司のみなさんも、入社当初の不安な時期に、できることならそんな丁寧な指導を受けたかったのではないか。
「直属の上司だけでなく、新入社員と関わりを持つ全社員が、ただ見守るのではなく、困っていることに気づいたら声をかける、具体的なアドバイスをするなど、積極的に関わることが成長を後押しする鍵となります」と、ジェイック取締役教育事業部長の近藤浩充は助言している。