米OpenAIは2024年12月に動画生成のためのAIモデル「Sora(ソラ)」を公開した。以来、世界のクリエイターといっしょにSoraの可能性を探求して、完成したショートムービーを一堂に集めた上映イベント「Sora Select」が3月末に都内で開催された。
OpenAIでSoraを担当するメンバーのローハン・サハイ氏、スーキ・マンスール氏からSoraに寄せられる反響と今後の展望を聞いた。
増え続けるSoraへの期待とアクセス
Soraはテキストや画像データから最長20秒までのリアルな動画コンテンツを生成する、OpenAI独自のAIモデルだ。有料版のChatGPT Plus、またはChatGPT ProのユーザーはSora.comにアクセスして、サブスクリプション料金の中でSoraによる動画制作が使える。契約するプランに応じて生成できる動画の最大解像度と長さなどが異なる。
OpenAIは2024年2月にSoraのプレビュー版を公開してから、ChatGPT、およびSoraが利用できる世界各地域からテストユーザーを募ってモデルの改善に努めてきた。現在は正式版のプロダクトとして提供するSoraは、プレビュー版に寄せられたリクエストを元に動画生成の精度・スピードを改善した高性能バージョンのSora Turboをベースにしている。
プロダクト版の公開直後から「Soraを試したいというたくさんの声が寄せられていることから、私たちは現在もGPUサーバーの強化に奔走している」と、開発を担当するSora Product and Engineering Leadのサハイ氏は語る。現在も日々、Soraのユーザーが秒単位で多くの動画コンテンツを生成している。サハイ氏によると、米国以外でSoraの利用者が多い都市のトップ5の中に東京、そしてソウルやパリが入っているという。

OpenAIではユーザーがSoraを使って生成した動画コンテンツの商用利用を認めているが、同時にSora由来の動画であることを識別するための安全対策も図っている。Soraで生成された動画には、すべてC2PAに準拠するメタデータが暗号化処理をかけて埋め込まれる。C2PAはコンテンツ認証イニシアチブ(CAI)が作成した、デジタルコンテンツの透明性を担保するための規格だ。CAIが提供するウェブ検証ツール「Verify」から動画ファイルを読み込むと生成・編集された来歴を調べることもできる。このほかにもSoraによる性的、暴力的な表現を含む動画やディープフェイクなど、有害な形態のコンテンツがそもそも生成されないようにブロックする仕組みもある。
クリエイターイベント「Sora Select」を東京で開催
OpenAIでは、Soraによるアーティスティックな表現の可能性を探求する目的で「Sora Select」というクリエイター向けのイベントを開催してきた。これまでは米国内(ニューヨークとロサンゼルス)を舞台としてきたSora Selectが、第3回目の開催となる今年、初めて東京にも拡大した。Sora Artist Program Leadのマンスール氏がイベントを企画した経緯を次のように振り返っている。
「Soraを発表してから1年の間に、OpenAIは45カ国以上から集まった才能あふれるクリエイターの方々と一緒にSoraの可能性を探求してきました。当社の呼びかけに対してビデオクリエイターだけでなく、絵画や彫刻に携わる芸術家、プロフェッショナルの映像監督、デジタルとアナログの表現手法を問わずたくさんのクリエイターにご参加いただき、Soraを自由に遊び尽くしてもらいました」
