マンスール氏によると、OpenAIはこれまでに300万ドル(約4億5000万円)を超える資金をSora Selectを含むクリエイター参加型の活動に投じてきたという。
東京開催のSora Selectでは、参加クリエイターによるすべての作品を集めて1日だけの試写会を実施した。イベントはSoraのショーケースとしての役割を兼ねていることから、上映会の後にはSora.comのほかOpenAIの公式YouTubeチャンネル、InstagramアカウントなどSNSにも順次作品を公開する予定だ。
今回の成果についてマンスール氏は「Soraで何ができるのか、最高の作品を揃えてモデルの実力を示すことができた」と振り返っている。サハイ氏もまた「あらゆるクリエイターから、Soraはとてもシンプルで直感的であり、さまざまなアイデアを速やかに具現化できるAIクリエーションツールであると高い評価を得ている」と会心の笑みを浮かべる。
クリエイターがSoraに惹かれる理由
動画生成のためのAIモデルについては、現在OpenAIの競合他社も力を入れている。「Soraの強み」はどこにあるのかサハイ氏に聞いた。
「ひとつはフォトリアリスティックで高品位な動画を生成できることだと思います。多くのクリエイターから、ほかの動画生成AIモデルよりも圧倒的に高画質だというフィードバックがあります。Soraに含まれるリミックス機能を気に入っているクリエイターの方々も多くいます」
リミックス機能とは、動画内のオブジェクトをスワップ・削除、または再イメージ化する機能だ。今回のSora Selectに参加したフランスのアートプロジェクト、Ethereal MoonのAIアーティストであるLeMoon氏も「Soraの中で最もパワフルなツール」だと評価している。

「例えば机の上に本を置いて、手に持ったおもちゃの馬を本の前で『走らせる』動画をスマートフォンで撮影した素材をSoraにアップロードします。あとはプロンプトから『巨大なビルディングの前を走り抜けるサラブレッド』と入力すると、映像に映り込む『人の手』を削除しながらフォトリアリスティックな動画が生成されます」(Moon氏)