ドナルド・トランプ米大統領が発表した貿易相手国に対する徹底的な相互関税の影響は、新車だけでなく、コーヒーやチョコレートをはじめ広範な輸入品の値上げにつながる可能性が高い。アップルのiPhoneの価格が40%以上高騰する可能性があるとのアナリスト予想も出ている。
トランプは「解放の日」と称した2日の演説で、欧州、アジア、アフリカ、太平洋地域にまたがる180カ国以上に対する相互関税を発表した。
米国を拠点とする企業が販売する製品は、輸入コストの上昇により価格引き上げが避けられないとみられるが、どの商品価格に直接影響が及ぶのか、各企業が関税にどう対応するのかについては、まだわからないことが多い。
「トランプ関税」の影響を受けるとみられる製品
・ローゼンブラット証券のアナリストは3日の顧客向けメモで、アップルは中国の製造拠点に大きく依存しており、関税による推定395億ドル(約5兆8000億円)のコスト上昇分を相殺するため、複数の製品の価格を引き上げる必要があると指摘した。値上げ幅は、iPhoneとApple Watchが43%、iPadは42%、AirPodsとMacシリーズは39%と予想している。アップルは2月にiPhoneの廉価モデルを599ドル(日本では税込9万8800円〜)で発売したが、43%の値上げなら約856ドル(約12万5000円)になる。ハイエンドモデルのiPhone 16 Pro Maxは、1599ドル(税込24万9800円〜)の販売価格が2300ドル(約33万6000円)に跳ね上がる。
・米農務省によると2023年現在、米国が輸入するコーヒー豆の約80%が中南米産で、大半がブラジル(35%)とコロンビア(27%)からだ。両国は10%の関税に直面している。
・チョコレート製品に使用されるカカオ豆は、主にコートジボワール、エクアドル、ガーナから輸入されており、それぞれ21%または10%の関税が課された。また、ココアバターは農務省によると主にインドネシアとマレーシアから供給されており、それぞれ32%と24%の関税が課されている。
・米国はオリーブオイルのほとんどを欧州連合(EU)から輸入しており、主要生産国はスペイン、イタリア、ギリシャだが、農務省によればトルコとアルゼンチンからも調達している。両国にはそれぞれ10%の関税が課された。
・業界関係者がロイターに語ったところによると、米国はインドの宝石・宝飾品の年間輸出のおよそ30.4%を占めている。世界で流通するダイヤモンドの90%がインドで加工されている。