メキシコ・カナダ産品にも値上げの可能性
メキシコとカナダからの輸入品に対して以前発表された25%の関税により、さらに広範な市場が影響を受け、商品の値上げが相次ぐ可能性がある。
・カナダは米国への最大の食肉輸出国で、2023年には輸出額が約140億ドル(約2兆円)に上った。農務省によると、牛肉や豚肉のほか、穀物、飼料、油糧種子も対米輸出品に含まれる。
・カナダ政府はかねて、関税が発動すれば牛乳、チーズ、卵などの乳製品、冬用コート、ガラス製品、オーブン、ストーブ、電子レンジなどの電化製品の価格に転嫁されると警告している。
・2019~21年に米国が輸入したアボカドの約88%はメキシコ産だ。農務省の報告では、米国は2023年にイチゴ、ラズベリー、トマトを含む総額およそ450億ドル(約6.6兆円)の農産物をメキシコから輸入した。
・農務省と商務省の推計によれば、テキーラはメキシコからの農産物輸入の約10%を占める。米国の輸入ビールの81%(ビール消費全体の18%)もメキシコ産だ。
・カナダの複数の業界団体と米蒸留酒協会(DISCUS)は、関税によりバーボンウイスキー、テネシーウイスキー、カナディアンウイスキーの価格が上昇するだろうと警告した。
カナダは米国製自動車に報復関税
カナダのマーク・カーニー首相は3日、米国で生産されカナダに輸入される自動車に25%の関税を課すと発表した。自由貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の条件を満たす車や、自動車部品は除外する。部品の除外についてカーニーは「統合生産システムの利点をわれわれは知っているからだ」と説明。「自動車メーカーがカナダでの生産と投資を維持する限り、報復関税を回避できる枠組みを構築している」と付け加えた。
CNBCが入手した欧米自動車大手ステランティスの社内メモによれば、同社はトランプの発動した自動車関税への対応として、カナダとメキシコにある2つの組立工場の生産を一時停止する。この影響で、米国内の工場で働く約900人の従業員が一時解雇されると報じられている。同社はカナダ工場でミニバンのクライスラー・パシフィカと電気自動車のダッジ・チャージャー・デイトナを、メキシコ工場でSUVのジープ・コンパスとジープ・ワゴニアを生産している。