欧州

2025.01.27 18:30

北朝鮮軍将校の遺体をウクライナが回収 その装備からうかがえる能力と戦術

ロシア・モロト社のヴェープル12セミオート式散弾銃(Shutterstock.com)

ウクライナとロシア西部の1300km近くにわたる前線では、ドローンが四六時中いたるところを飛び回っているため、両軍は歩兵部隊に散弾銃を装備させている。散弾銃は弾が広く散らばるので、突っ込んでくる自爆ドローンを撃ち落とすのに最適な武器だ。ウクライナ側はドローンにも散弾銃を2丁搭載し、“空中ドローンハンター”に仕立てている。
困窮したロシア兵のなかには、母国の支援者に散弾銃を送ってほしいとソーシャルメディアを通じて懇願する者もいる。あるロシア兵は昨年春、「どんなボロでもかまいません」と動画で必死に訴えた。対照的に、この北朝鮮軍人が持っていた散弾銃は軍から支給されたものかもしれない。

ウクライナの少なくない数の観察者が、北朝鮮軍人の現代のドローン戦に対応する能力には目を見張るものがあると述べている。ウクライナの映画監督で現在は従軍しているボロディミル・デムチェンコは、北朝鮮軍人の射撃練度は「非の打ちどころがない」と評し、「破壊した小型ドローンの数がそれを証明している」と述べている。

デムチェンコによれば、北朝鮮軍部隊はウクライナ軍のドローンを仕留めるために、残酷だが有効な戦術も編み出している。「兵士1人がおとりになり、仲間2人がドローンを待ち伏せして破壊する。これは、今日最も恐ろしいと思われる対人兵器を前にした際の彼らの精神的な強靭さについて、なにがしか伝えるものがあるはずだ」

並外れた体力、新式の散弾銃、巧みな対ドローン戦術があっても、この北朝鮮軍将校は、戦闘で鍛えられた第22機械化旅団との交戦では救われなかった。それでも、この中佐の優れた装備は、3倍の規模のロシア・北朝鮮連合軍を相手にクルスク州で戦うウクライナ軍にとって不吉なものなのは間違いない。

クルスク州には大勢のロシア軍人がいるが、その多くは装備が貧弱で、まだ負傷はしていないとしても健康状態も悪い。だが、クルスク州で彼らに加勢している数千人以上の北朝鮮軍人はそうではないようだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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