だとすれば、ロシア軍の歩兵はウクライナ側がロシア側の陣地に毎月およそ10万機送り込んでいる自爆型のFPV(一人称視点)ドローンから、どうやって身を守ればよいだろうか。
この目的では散弾銃は案外悪くない。機体重量900gかそこらのFPVドローンは、大きさも飛ぶ速さも鳥くらいだ。すばやい射撃手なら、飛んでくるFPVドローンをカモのように仕留められるかもしれない。
じつのところ、ロシア軍はドローンからの防御用に散弾銃を少数ながら部隊に支給している。しかし、ウクライナに進駐している40万人規模の軍隊全体を守るにはとうてい足りない。そのため、少なくとも1人のロシア兵は母国の支援者に、散弾銃を買って前線に送ってほしいと頼み込んでいる。
「どうかわたしたちに、ポンプ連射式の散弾銃のご支援をお願いします」。戦闘で疲弊したこの兵士は、支援者に向けたビデオメッセージでそう訴えている。「どんなにボロいものでもかまいません」
Russian serviceman is worried about Ukrainian FPV drones, asks his followers for help in getting a pump action gun to counter them. pic.twitter.com/sV7B25c2q6
— WarTranslated (Dmitri) (@wartranslated) May 1, 2024
最後の手段として、少なくとも1つのロシア軍部隊は、飛来してくるFPVドローンをかわす訓練を兵士に施しているようだ。ウクライナのドローン専門家セルヒー・ベスクレストノウが入手し、ソーシャルメディアに投稿した動画には、兵士たちがドローンをよけて駆け回る訓練をしている様子が映っている。一部はドローンの視点からの映像になっている。
Apparently, some Russian soldiers are training how to evade a small tactical drone when all other defenses fail. https://t.co/IvjJzQtKCP pic.twitter.com/b1xPXTf79P
— Samuel Bendett (@sambendett) May 2, 2024
ロシア側にとって問題は、突っ込んできたドローンをかわそうとして失敗し、爆発で犠牲になったロシア兵の映像が山のようにあることだ。
FPVドローンは普通、最低でも450g以上の爆弾を搭載している。米バージニア州にあるシンクタンク、CNAのドローン専門家であるサミュエル・ベンデットは、「FPVドローンが至近距離で爆発すれば、たとえ(狙った相手に)命中はしなくても、負傷させたり重傷を与えたりするでしょう」とコメントしている。
散弾銃の提供を要望したロシア兵も、ウクライナのドローンについて「わたしたちをひたすら燃やしにかかっている」と訴えている。1機爆発しただけで「人はばらばらになってしまう」と。
(forbes.com 原文)