ウクライナ南部の前線からおよそ200km離れたクショフスカヤ空軍基地への襲撃直後の動画や衛星画像には、焼け焦げた施設やUMPKの残骸の山が見える。衛星画像からは、スホーイSu-34戦闘爆撃機少なくとも1機が破壊された形跡もうかがえるようだ。Su-34はこのキットを付けた滑空爆弾の主な発射母機になっている機体だ。
Overnight, Ukrainian forces successfully struck Russia's Kushchyovskaya airbase in Krasnodar Krai.
— OSINTtechnical (@Osinttechnical) April 27, 2024
At least one drone hit the vicinity of the flight line. Russian aircraft have reportedly been damaged, and footage shows a number of destroyed glide bomb kits. pic.twitter.com/G31v6ylUph
それでも、ロシアの滑空爆弾作戦を支えるインフラの破壊をウクライナが少なくとも試みてはいることは、注目に値する。「ウクライナがロシアの戦術航空作戦、とりわけ滑空爆弾の使用を妨害できるかは、前線全体の防衛で鍵を握る」と英国防省は指摘する。
FAB/UMPK誘導滑空爆弾は昨年半ば以来、ロシア空軍の主要な航空弾薬になっている。この爆弾は投下されると翼が展開し、射程は40kmある。そのため、ロシア軍機はウクライナ側の防空兵器の射程外からの攻撃、いわゆるスタンドオフ攻撃ができる。UMPKは大まかに言えば米国製のJDAM、フランス製のAASMと似たもので、ウクライナ空軍もこれらの装置で精密誘導可能にした爆弾を自軍機に搭載している。
UMPKの衛星測位システムで誘導されるFABには数百kgの爆薬が詰め込まれており、地上に着弾すると深さ10m以上の穴ができるほど強力だ。ウクライナ軍の第3独立強襲旅団に所属する軍人イェホル・スハルは、「KABが1発着弾するだけで、すべての建物や構造物がただの穴になる」と説明している。
ウクライナの調査分析グループ、ディープステートの表現を借りれば、FAB/UMPK誘導滑空爆弾はロシアの「ミラクル兵器」であり、現時点でウクライナ側に「対抗する手段はほとんどない」。もしひとつあるとすれば、今回やったように、Su-34に4発が搭載される前にこの爆弾やUMPKキットの保管場所を爆撃することかもしれない。