欧州

2025.01.27 09:00

おびき出されたロシア軍部隊にHIMARSの待ち伏せ攻撃 クルスク州で多数死傷か

Shutterstock.com

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ロシア西部クルスク州で23日かその少し前、ウクライナ軍第225独立強襲大隊の部隊は撤退すると見せかけて、ロシア軍の大人数の部隊を罠に誘い込んだ。

ロシア軍部隊は、しばらく前から奪還を試みてきたスベルドリコボ村をついに制圧できそうだと思い込んだのか、村の外れにある樹林帯にすばやく進んできた。そこに、おそらく数十km離れた地点からウクライナ軍の高機動ロケット砲システム(HIMARS)が照準を合わせた。

ウクライナ軍のドローン(無人機)が見守るなか、HIMARSから発射されたM30ロケット弾が炸裂し、擲弾(てきだん)ほどの大きさの子弾が雨あられと樹林帯に降り注いだ。「この攻撃で敵の兵力のかなりの部分が撃破され、われわれの部隊は戻ってきてエリアの掃討を完遂しました」と第225強襲大隊は報告している
第225強襲大隊の本部と前線の中隊、そして近傍の砲兵旅団による周到な調整によって実行されたこの待ち伏せ攻撃から、クルスク州でロシア軍と援軍の北朝鮮軍の人的損害が膨らんでいる理由の一端が垣間見える。6万人規模の両軍部隊は、2万人規模のウクライナ軍部隊を昨年8月以来とどまっている650平方kmの突出部から排除すべく、3カ月ほど前に攻勢に出た。

ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領によれば、ロシア軍はこれまでにクルスク州で人員を3万人以上失ったという。

ロシア側は連日、突出部の要であるスジャ町につながる数本の道路に沿った同じルートで攻撃しているだけでなく、徒歩で、しかもろくな支援を受けずに突撃することが多くなっている。歩兵は砲兵の攻撃に弱く、事前に狙いを定められたキルゾーン(撃破区域)に密集した場合はとくに弱い。

突出部北西周縁のスベルドリコボ近くのキルゾーンにロシア軍部隊をおびき寄せるため、第225強襲大隊の歩兵は計画的な撤退を行った。「『成功』を確信した敵のかなりの兵力がこのエリアに引き込まれると、HIMARSのクラスター弾の攻撃目標になりました」と同大隊は説明している。

HIMARSで攻撃された一帯にロシア兵が何人いて、うち何人が被弾したのかは不明だ。ロシアによるウクライナに対する全面戦争が4年目に入ろうとするなか、ロシア軍による最大規模の攻撃では車両50両、兵士数百人が参加することもあるようだが、ほとんどの攻撃はもっと小規模なものだ。

一方で、ここ数週間で最も大きな犠牲を伴ったロシア・北朝鮮側による攻撃では、百人単位の死傷者が出ている点にも留意しておくべきだろう。

第225強襲大隊がこの攻撃の戦果をとくに誇っていることは、ロシア側の人的損害が甚大だった可能性を示唆する。第225強襲大隊は「このような作戦の詳細を公表できることはめったにありませんが、今回はウクライナ軍によって(部隊間の)調整、戦術、現代兵器がどのように機能しているかを示すことができました」と述べている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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