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欧州

2025.01.22 18:00

車両保管施設が続々と空になるロシア、70年前の装甲車すら貴重に

旧ソ連製のBTR-50装甲兵員輸送車。2022年5月、ロシア・クロンシュタット(Karasev Viktor / Shutterstock.com)

旧ソ連製のBTR-50装甲兵員輸送車。2022年5月、ロシア・クロンシュタット(Karasev Viktor / Shutterstock.com)

独立系のアナリストらは1年ほど前、ロシア極東のアルセーニエフにある第1295中央戦車修理保管基地で動きが活発化していることを記録していた。

旧ソ連で1950年代に開発されたBTR-50装甲兵員輸送車数十両が基地から引き出されていた。アナリストのHighmarsedは「第1295基地にあった63両のBTR-50がすべて撤去されました。車両の状態は良好なようです」と報告した

63両というのは2個大隊分に相当する。ロシア軍は、数百人以上のロシア兵をさまざまな地形で輸送できる手段を新たに確保できたことになる。だがHighmarsedによれば、これにはもっと暗い意味合いもあった。「この先、BTR-50の損害が増えると予想しています」とHighmarsedは付言していた。

果たしてアナリストグループのOryx(オリックス)によれば、ロシア軍のBTR-50の損害10両がこれまでに確認されている。一方で、生き延びているBTR-50は引き続き戦闘で使用されており、なかには新たな砲塔を搭載したものもある。また、ほとんどは、自爆ドローン(無人機)の直撃を避けるための追加装甲を装備している。ウクライナ軍の自爆ドローンは常にどこにでもいるため、ロシア軍のどんな車両も、掩蔽された場所から出るのはきわめて危険になっている。
実のところ、BTR-50のような、ある観察者に言わせれば「博物館の展示品」クラスの車両は、ロシアが起こして4年目に入ろうとする全面戦争の1300km近くにおよぶ戦線で、むしろ珍しくなくなりつつある。しかし、この復活も一時的なものかもしれない。ドローンの優位性が強まってきているこの戦争では、ロシア軍のあらゆる車両が「絶滅危惧種」なのだ。

BTR-50は重量約14t、ディーゼル駆動の装軌車両で、乗員2人と兵員最大20人が搭乗できる。通常は重機関銃で武装している。1954年に就役し、以後12年にわたってソ連軍の主力戦闘車両だった。乗員は歩兵を戦場に運び、下車時に保護し、その後は機関銃で彼らを支援した。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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