ウクライナの戦場記者ユーリー・ブトゥソウは動画のなかで、その装備の実物を手にしている。「彼の装備はかなり質の高いものです」とブトゥソウは評している。とりわけ注目されるのは、この北朝鮮軍人がヴェープル12セミオートマチック式散弾銃を携行していたことだ。この武器がウクライナ軍のFPV(一人称視点)ドローン(無人機)に対して使うものだったのは明らかだ。
偽装した配属先のロシア軍部隊の「中佐」とされるこの中隊長は、麾下部隊が第22機械化旅団の陣地を襲撃した際、最前線で指揮していた。この陣地は、ここ数週間で最も激しい部類に入る接近戦が繰り広げられた方面にある。ウクライナ軍が昨年8月に侵攻したクルスク州では、6万人規模のロシア・北朝鮮連合軍が同年11月以来、2万人規模のウクライナ軍を650平方kmほどの突出部から排除しようとしているものの、おおむね失敗している。
ブトゥソウは「彼は部下の兵士たちと共に突撃してきました」と語っている。ウクライナ側はこの中隊長の遺体を自陣後方の比較的安全なエリアまで持ち帰ることに成功した。そこでウクライナの情報機関は、ロシア語の身分証、すべて朝鮮語で書かれた日記などの文書や、中国製の無線機、手榴弾、AK-12アサルトライフル、12口径のヴェープル12といった武器を詳しく調べることができた。ブトゥソウも同じことをする機会を得た。
「彼は自動小銃を2丁携行していました」とブトゥソウは遺体の前で紹介し、この軍人が重い装備を持ち運べたのは北朝鮮軍の「非常に高い」体力基準によるものだろうとコメントしている。
あるOSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストは、この軍人が所持していた散弾銃について「FPV(ドローン)に対抗するため」のものと書いている。