欧州

2025.04.12 09:30

ロシア軍が「博物館級」の老車両GAZ-69に乗って突撃 スクラップと化す

ロシアで開催された自動車産業の展示会に出展された旧ソ連製の四輪駆動車「GAZ-69」。2014年8月19日、モスクワ(Art Konovalov / Shutterstock.com)

ロシアで開催された自動車産業の展示会に出展された旧ソ連製の四輪駆動車「GAZ-69」。2014年8月19日、モスクワ(Art Konovalov / Shutterstock.com)

1950年代にさかのぼる博物館級の車両、旧ソ連製のGAZ-69ライトトラックをロシア軍がウクライナの前線にまとまった数配備し始めたことは、3月下旬までに知られていた。このほど、GAZ-69はウクライナ軍の陣地に対する直接攻撃に初めて参加したようだ。

OSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストのMoklasenは今月初め、追加防護や偽装を施したGAZ-69の前で語るロシア兵らの動画を共有し、「GAZ-69シュトゥルム(突撃)までもうちょっとだ」とコメントしていた。予想は正しかった。

10日かその少し前、ウクライナ東部ドネツク州との州境に近いルハンシク州ビロホリウカ町郊外でロシア軍が行った突撃に、1952年から1972年まで生産されたこの四輪駆動車が少なくとも1台参加した。そして、悲惨な結果になった。

重量約1500kgのGAZ-69は元来装甲がまったくなく、一部のロシア軍部隊はドローン対策のケージを追加している。

今回の突撃に加わったGAZ-69は、ウクライナ空挺強襲軍の第81独立空中機動旅団に所属するドローンチーム「アプベール・グルッペ」(ドイツ語で「防衛グループ」)のFPV(一人称視点)自爆ドローンを被弾した。小隊規模の車列の残りの車両も攻撃を受けた。いずれも民生寄りの車両で、GAZ-69はほかにも数台参加していた可能性がある。

アプベールは、ウクライナ側の陣地まで「誰もたどり着けなかった」と戦果を報告している

優位だが攻勢の力が衰えるロシア軍

ロシア軍の突撃部隊は最もしっかりした防護のある車両に乗った場合でさえ、地雷がまかれ、砲弾が撃ち込まれ、ドローンが飛び交う前線を越えていくのに難渋している。民生用や軍民両用のトラックや全地形対応車、オートバイといった、防護がほとんど、あるいはまったくない車両を使う場合は、さらにひどい結果になりがちだ。

それでもロシア軍の部隊が民生寄りの車両を以前にも増して多用するようになっている背景には、3年2カ月近くにわたる全面戦争での自軍の装甲戦闘車両の損害が1万2000両を超える一方、新造などによる補充のペースがそれに追いついていないという事情がある。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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